保湿剤の効果と副作用は?

van Zuuren EJ, et al. Emollients and moisturisers for eczema. Cochrane Database Syst Rev 2017; 2:Cd012119.

保湿剤のシステマティックレビュー。

■ 今回、はじめてイチからWORDPRESSで記載する記事になります。

■ そして、ひさしぶりにCochraneレビューの紹介です。

■ 保湿剤に関する報告やレビューを、これまでもいくつかご紹介させていただきました。

■ とはいえ、やはりCochraneが一番Authorityですよね。ということで最近Publishされた報告をご紹介させていただきたいと思います。

■ Pubmedに載っている内容のみのまとめですが、結構長かったです。

 

PECO
P: 2015年12月までCochrane Skin Specialised Register、CENTRAL、MEDLINE、Embase、LILACS、GREAT databaseを検索して抽出された、湿疹に罹患している患者における無作為試験 77研究(6603人、平均年齢 18.6歳、平均継続期間 6.7週)。
E: 保湿剤使用 (Atopiclair、尿素含有クリーム、グリセロール、オーツ麦含有クリーム)
C: 基剤もしくは使用しない
O: 効果や有害事象に差はあるか

 

結局、何を知りたい?

 ✅保湿剤の効果をシステマティックレビューで確認しようとしている。

 

結果

■ バイアスに関して、36研究はハイリスク、34研究はリスク不明、7研究は低リスクと判断された。

■ 24研究はプライマリアウトカム『参加者により評価された重症度』を評価し、13研究は『満足感』を評価し、41研究は『有害事象』を評価した。

■ セカンダリアウトカムとして、調査者により評価された重症度(65研究)、皮膚バリア機能(29研究)、紅斑予防(16研究)、QOL(10研究)、ステロイド使用(8研究)が含まれた。

■ 有害事象の報告は、限定された(痛み、ヒリヒリする、そう痒、紅斑、毛包炎)。

■ 6研究は、保湿剤使用 vs 保湿剤使用なしを評価したが、『参加者により評価された重症度』や『満足感』は、評価されなかった。

■ 保湿剤使用は、無使用よりSCORADが低下した(3研究276人 平均差 (mean difference;MD) -2.42、95%信頼区間(CI)-4.55~-0.28)。

■ 保湿剤使用は、紅斑がより少なくなり(2研究87人、RR 0.40、95%CI 0.23~0.70)、紅斑までの期間は延長し(日数中央値180 vs 30日)、ステロイド外用の使用がより少なくなった(2研究222人、MD -9.30 g、95%CI-15.3~-3.27)。

■ 有害事象には有意差が認められなかった (1研究173人、リスク比(RR)15.34、95%CI 0.90~261.64)。

 

Atopiclair

■ Atopiclair(3研究)では、保湿剤群は232人中174人が「参加者評価の重症度」が改善し、基剤群では158人中27人の改善であった(RR 4.51、95%CI 2.19~9.29)。

■ Atopiclairはそう痒を軽減し(4研究396人、MD-2.65、95%CI-4.21~-1.09)、満足感をより上げ(2研究248人、RR 2.14、95%CI 1.58~2.89)、紅斑をより軽減し(3研究397人、RR 0.18、95%CI 0.11~0.31)、EASIをより低下させた(4研究、426人、MD-4.0、95%CI-5.42~-2.57)。

■ 有害事象を報告した参加者数は、統計学的に有意差がなかった(4研究430人、RR 1.03、95%CI 0.79~1.33)。

 

尿素含有クリーム

■ 尿素含有クリームによる介入は、プラセボより有意に皮膚改善した(1研究38人、low-quality evidence)が、満足感はプラセボと変わらなかった(1研究129人、RR 1.28、95%CI 1.06~1.53; low-quality evidence)。

■ 尿素含有クリームは、紅斑を軽減し(1研究44人、RR 0.47、95%CI 0.24~0.92; low-quality evidence)で調査者評価の乾燥をより改善した(1研究128人、RR 1.40、95%CI 1.14~1.71;moderate-quality evidence)。

■ しかし、尿素含有クリーム群は、有害事象をより多く報告した(1研究129人、RR 1.65、95%CI 1.16~2.34;moderate-quality evidence)

 

グリセリン含有保湿剤

■ 3研究は、グリセリン含有保湿剤vs基剤もしくはプラセボを評価した。

■ グリセリン群は皮膚症状がより改善し(1研究134人、RR 1.22、95%CI 1.01~1.48;moderate-quality evidence)、調査者評価によるSCORADをより改善した(1研究、249人、MD-2.20、95%CI-3.44~-0.96; high-quality evidence)。

■ 有害事象を報告した参加者数は、統計的に有意でなかった(2研究、385人、RR 0.90、95%CI 0.68~1.19;moderate-quality evidence)。

 

オート麦含有保湿剤

■ 4研究は、オート麦含有保湿剤vs無処置もしくは基剤を調査した。

■ オート麦群において、紅斑は軽減し(1研究43人、RR 0.31、95%CI 0.12~0.7; low-quality evidence)、ステロイドの所要量が減少し(2研究222人、MD-9.30g(95%CI 15.3~-3.27); low-quality evidence)たが、有害事象はより多く報告された(1研究173人; Peto odds ratio (OR) 7.26、95%CI 1.76~29.92; low-quality evidence)。

■ 参加者は、保湿剤がコントロールに比較して湿疹を減らし(5研究、572人、RR 2.46、95%CI 1.16~5.23; low-quality evidence)、掻痒を減らしたと感じた(7研究、749人、SMD-1.10、95%CI-1.83~-0.38)。

■ 両処置群の満足感は同様だった(3研究、296人、RR 1.35、95%CI 0.77~2.26; low-quality evidence)。

総合

■ 保湿剤は、調査者評価による重症度を低下させ(12研究1281人、SMD-1.04、95%CI-1.57~-0.51high-quality evidence)紅斑をより低下させ(6研究607人、RR 0.33、95%CI 0.17~0.62;moderate-quality evidence)、有害事象には有意差がなかった(10研究1275人、RR 1.03、95%CI 0.82~1.30;moderate-quality evidence)。

■ 保湿剤と併用される実薬外用治療は、実薬治療のみよりも有効であり(調査者に評価された重症度の低下(3研究192人、SMD-0.87、95%CI-1.17~-0.57;moderate-quality evidence)、紅斑の改善(1検査、105人、RR 0.43、95%CI 0.20~0.93)、参加者により好まれた。

■ 有害事象数に有意差はなかった(1研究、125人、RR 0.39、95%CI 0.13~1.19;非常に低い良質な証拠)。

 

結局、何がわかった?

 ✅保湿剤は、基剤もしくは保湿なしに比較して、重症度・紅斑・かゆみを有意に低下させ、ステロイド外用を減らす。副作用はおおむね問題ないようであるが、尿素含有クリームは少々多いようである。

 

コメント

■ Atopiclairは、海外の保湿剤です。本邦で購入するととっても高価ですので、本邦では購入しないほうが良いと思いますが、もし海外で見かけたら購入してみて塗り心地を試してみたいと思っています。

■ この結果はそれぞれの保湿薬をhead to head (ガチンコ=直接対決)で調べたわけではないので、まだまだ「これがいい」とは言えませんが、以前、尿素に関して刺激感が多くなるという報告をご紹介いたしました。

■ ただし、以前、尿素に関しては基剤(尿素のみ除いたワセリンみたいなもの)に比べて湿疹の再燃を減らすというランダム化比較試験をご紹介いたしました。

■ まだまだ、保湿剤に関してはエビデンスの蓄積が必要そうですね。

 

今日のまとめ!

 ✅湿疹(アトピー性皮膚炎)に対する保湿剤の効果は、症状・かゆみともに有効であり、副作用もおおむね許容される範囲だが、まだ十分なデータがあるとはいいがたい。

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