インフルエンザの迅速検査、発症からどれくらいで陽性にでるでしょう?そのことを検討した報告。
■ インフルエンザ迅速検査に関し、「早期の検査は感度が低い(陽性率が低い)」とはよく言われるものの、「ではどれくらいなのか?」はよく知りませんでした。
■ そんな中、私がひそかにリスペクトしているKID先生がTwitterでつぶやいておられて目に止まった報告です。それで、この記事を書いていたのですが、昨日(1/30)、この記事より詳しく考察してブログにUPされました。
■ 詳しくは、そちらでで終了・・としたいところですが、自分自身の備忘録としてUPしておきたいと思います。全文がフリーで読めるので、原文もご確認下さい。
Keitel K, et al. Performance characteristics of a rapid immunochromatographic assay for detection of pandemic influenza A (H1N1) virus in children. Eur J Pediatr 2011; 170:511-7.
インフルエンザが疑われる18歳までの小児患者311人に対してPCRと迅速検査キットで検査を行い、インフルエンザ迅速検査キットの性能を評価した。
■ インフルエンザ診断における迅速検査は、小児のインフルエンザ患者の管理において貴重な資産である。
■ ただし、テストのパフォーマンスはウイルス亜型によって変動する。
■ そこで、逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)をゴールドスタンダードとして使用した。
■ PCRと比較することで、18歳までの小児におけるパンデミック2009年インフルエンザA(H1N1)を検出する際に、Influenzatop(R)(インフルエンザA/Bに対する迅速免疫クロマトグラフィー)の検査特性を評価した。
■ インフルエンザ様疾患の外来の小児患者311人が研究に参加した。
■ Influenzatop(R)の感受性は全体で64%(95%信頼区間 [CI] 56〜71%)であったが、症状の発現後24〜48時間に実施された場合、92%(95%CI 80〜97%)まで増加した。
論文から引用。インフルエンザ迅速検査の陽性と症状出現からの時間や年齢。
・12時間以内で感度 35%、特異度 100%
・12-24時間で感度 66%、特異度 97%
・24-48時間で感度 92%、特異度 96%
・48時間以上で感度 59%、特異度 100%
■ RT-PCR陽性患者のインフルエンザ迅速検査陽性は、より多いウイルス量と関連していた。
■ 年齢や流行時期によってでは、テストの性能に大きな違いは検出されなかった。
■ 検査の特異度は全体で99%(95%CI 95-100%)だった。
■ 陽性および陰性予測値( predictive values)はそれぞれ98%(95%CI 93-99%)および70%(95%CI 63-76%)だった。
結局、何がわかった?
✅この研究で使用されたインフルエンザ迅速キットでは、以下の感度・特異度であり、24-48時間での感度が最も高かった。
・12時間以内で感度 35%、特異度 100%
・12-24時間で感度 66%、特異度 97%
・24-48時間で感度 92%、特異度 96%
・48時間以上で感度 59%、特異度 100%
この結果は、臨床に直結するでしょう。
■ 少し古い文献ですが、KID先生はメタアナリシスの引用文献から、この論文を見つけ出されたそうです。
■ 検査キット毎の性能差にも注意を要するでしょうけれども、この結果を把握しておくと、夜間の不要なインフルエンザ迅速検査が減らせるかもしれませんね。
今日のまとめ!
✅インフルエンザ迅速検査の感度は、12時間以内で35%、12-24時間で66%、24-48時間で92%、48時間以上で59%だった。