デュピルマブ(商品名デュピクセント)の副作用は?:メタアナリシス

デュピルマブ(商品名デュピクセント)の重症アトピー性皮膚炎への保険適応が秒読みに入っています。

■ デュピルマブ(商品名デュピクセント)は、アトピー性皮膚炎への生物活性製剤として認可が秒読み体制に入っています(まだ成人しか認可がおりる予定はありません)。

※2018/8/19追記。このあと2018/5に認可が下りました。

■ 先行した乾癬では、生物活性製剤が大きな成果を上げている一方、アトピー性皮膚炎ではそこまで劇的ではないとはいえ、効果が期待されています。

デュピルマブはアトピー性皮膚炎に有効か?:メタアナリシス

■ 今回は副作用に関して、最近のメタアナリシスをご紹介いたします。

 

Ou Z, et al. Adverse events of Dupilumab in adults with moderate-to-severe atopic dermatitis: A meta-analysis. International immunopharmacology 2018; 54:303-10.

中等症から重症アトピー性皮膚炎患者に対して、デュピルマブの副作用を検討したランダム化比較試験8試験を検討した。

背景

■ デュピルマブ、インターロイキン4受容体αに対する完全ヒトモノクローナル抗体は、インターロイキン-4およびインターロイキン13のシグナルを阻害し、また、中等症から重症のアトピー性皮膚炎(AD)患者において有意な有効性を示した。

■ 一方、有害事象については議論の余地がある。

 

目的

■ 中等症〜重症アトピー性皮膚炎に罹患している成人における、デュピルマブの有害事象を評価する。

 

方法

■ 中等症から重症AD患者に対して、プラセボと比較したデュピルマブのランダム化比較試験(Randomised controlled trials;RCT)に関し、MEDLINE, EMBASE, Web of Science and Cochrane databaseを検索した。

■ この研究のアウトカムは、観察期間中のデュピルマブの有害事象の発生率だった。

 

結果

■ 8つのRCTを分析した。

■ メタアナリシスにより、デュピルマブにより治療される患者は、プラセボで治療される患者よりも、皮膚感染のリスクが低く(risk ratio [RR] 0.54; 95%信頼区間[CI]0.42-0.69)、アトピー性皮膚炎の増悪リスクが低く(RR 0.44、95%CI 0.34-0.59)、注射部位反応リスクが高く(RR 2.24、95%CI 1.68-2.99)、頭痛(RR 1.47、95%CI 1.05-2.06)や結膜炎(RR 2.64、95%CI 1.79-3.89)のリスクが高いことが示された。

■ 鼻咽頭炎・尿路感染症・上気道感染症・ヘルペスウイルス感染は、デュピルマブ群とプラセボ群で同様だった。

 

結論

■ 中等症から重症アトピー性皮膚炎に罹患した成人に対するデュピルマブは、皮膚感染症およびアトピー性皮膚炎増悪リスクを軽減したが、頭痛のリスクを中等度増加させ、注射部位反応や結膜炎のリスクを中等度増加させた。

■ 一方、他の感染症にはほとんど影響しなかった。

 

結局、何がわかった?

 ✅デュピルマブは、プラセボと比較して、①皮膚感染のリスクが0.54倍、②アトピー性皮膚炎の増悪リスクが0.44倍、③注射部位の副反応リスクが 2.24倍、④頭痛のリスクが1.47倍、⑤結膜炎のリスクが2.64倍になった。

 

 

デュピルマブ(商品名デュピクセント)の副作用は許容される範囲だった。

■ 生物学的製剤は、やたら薬価が高いことが問題ではありますが、重症アトピー性皮膚炎に対して、適応が進む可能性があります。

■ 小児適応はまだ先と思いますが、情報を集めておこうと思っています。

 

 

今日のまとめ!

 ✅中等症から重症アトピー性皮膚炎に罹患した成人に対するデュピルマブは、皮膚感染症およびアトピー性皮膚炎増悪リスクを軽減したが、頭痛のリスク、注射部位反応・結膜炎のリスクを増加させた。

 

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