デュピルマブ(デュピクセント)はアトピー性皮膚炎に有効か?:メタアナリシス

Han Y, et al. Efficacy and safety of dupilumab for the treatment of adult atopic dermatitis: A meta-analysis of randomized clinical trials. J Allergy Clin Immunol 2017. [Epub ahead of print]

生物学的製剤が大きくアレルギー治療を変えようとしています。

■ 生物学的製剤は、アレルギー疾患だけでなく、多くの分野の治療を大きく変えようとしていることは皆さんご存知のとおりです。

■ これまで、このブログでもオマリズマブによる治療は、先行した喘息だけでなく、アトピー性皮膚炎、慢性蕁麻疹、食物アレルギーの治療にも応用されているという研究結果をご紹介してきました。

オマリズマブ(ゾレア)は抗ヒスタミン薬で改善しない慢性蕁麻疹に効果がある

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■ 最近はヌーカラの効果もメタアナリシスで報告されました。

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■ 今回は、デュピルマブによるアトピー性皮膚炎治療のメタアナリシスをご紹介いたします。

 

PECO
P:2016年12月1日までのPubMed, Medline, Embase, and Web of Science databasesを検索して抽出されたdupilumabをアトピー性皮膚炎(AD)に使用したランダム化プラセボ対照比較試験7件(1966人)
E:デュピルマブ投与
C:プラセボ
O:AD治療にデュピルマブは有効か

 

 

結局、何を知りたい?

 ✅アトピー性皮膚炎に対し、デュピルマブが効果があるかどうかを、過去の研究結果をまとめて評価しようとしている。

 

 

デュピルマブは、アトピー性皮膚炎に効果があるか?

■ プラセボ/コントロールと比較して、デュピルマブ治療は有意にEASIスコアを低下させた[standardized mean difference (SMD)(SMD)-0.91; 95%CI、-0.99~-0.83; P < 0.001]

■ デュピルマブ治療群では、プラセボコントロール群と比較して、IGA (ivestigator’s global assessment =評価者の全体的な評価)反応率がより高かった[相対危険度(RR)=4.64、95%CI、3.81-5.66、P < 0.001]。

■ デュピルマブ治療群では、そう痒数値評定法(numerical-rating scale;NRS)のSMDは-0.76(95%CI、-0.84~-0.68、P < 0.001)であり、デュピルマブ治療は、患者の救助とQoLを改善したことを示した。

■ さらに、デュピルマブには用量依存性に有効性が変化した。300mg qw(毎週1回)と300mg q2w(2週に1回)により、最も改善された。

■ また、300mg q4w(4週に1回)と200mg q2wも、有意な臨床状態の改善を示した。しかし、100mg q4wdではほぼ効果がなかった。

■ デュピルマブの報告されているの有害事象(AE)は、鼻咽腔炎、頭痛と注射部位反応だったが、AEが各試験で統計的に同程度起こっていた(RR=0.99、95%CI、0.95-1.04、P=0.827)

デュピルマブ治療は、プラセボ群と比較して、重篤な有害事象(SAE)のリスクが低かった(RR=0.44、95%CI、0.30-0.65、P < 0.001)

 

結局、何がわかった?

✅デュピルマブは、アトピー性皮膚炎に有効であり、アトピー性皮膚炎の重症度スコア(EASI)、かゆみスコア(NRS)は改善する。

デュピルマブの効果は投与量が多いほうが効果があった

✅副作用はプラセボと同程度、もしくは重篤な有害事象は少なかった。

 

 

デュピルマブは、アトピー性皮膚炎の重症度・かゆみを軽減し、投与量が多いほうが効果があった。

デュピルマブはインターロイキン-4受容体(IL-4R)αサブユニットに対するヒト・モノクローナル抗体であり、アトピー性皮膚炎(AD)の病因において重要な役割を果たすインターロイキン-4(IL-4)とIL-13を抑制します。

■ デュピルマブが有望なAD治療薬物であることを示唆しており、重篤なAD患者に対する有効性や安全性プロフィールは良好であるとされていました。

■ 本邦でも、デュピルマブはすでにアトピー性皮膚炎の治療薬として申請がだされているようです。

サノフィ、アトピー性皮膚炎の新規治療薬「dupilumab」の製造販売承認を申請

■ ただし、わずか7件のメタアナリシスには制約があるかもしれず、バイアス(例えば製薬企業からの資金提供)のリスクが存在するかもしれない、と述べられていました。

■ 分子生物学的製剤は、これからさらに増えることが予想されます。ただし、大変高価となることが多く、使用は限定的と考えるべきかもしれません。

 

さらに、新しい機序のアトピー性皮膚炎治療薬が実用化に向け、動いています。

■ さらに、ネモリマブ(IL-31受容体抗体)をはじめ、他の生物学的製剤(新しい機序の薬剤)も本邦でも実用に向けた研究段階に入ってきています。

 ネモリズマブ(IL-31受容体抗体)は、アトピー性皮膚炎に効果があるか?:ランダム化比較試験

■ また、JAK阻害薬という新しい機序の外用薬も第II相試験まで終了しています。

アトピー性皮膚炎に対する新規外用薬・JAK阻害薬(トファシチニブ)の効果:ランダム化比較試験

 

 

 

今日のまとめ!

✅デュピルマブは、アトピー性皮膚炎に有効である。

 

*2017/7/11 ネモリマブ、トファシチニブの情報を追加しました。

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