アトピー性皮膚炎における汗中のグルコース量は増加している

Ono E, et al. Sweat glucose and GLUT2 expression in atopic dermatitis: Implication for clinical manifestation and treatment. PloS one 2018; 13(4): e0195960.

汗の成分に関する検討が進み始めています。

■ 汗はアトピー性皮膚炎に対し悪化要因になるだけではなく、保湿成分や抗菌ペプチドなどを含み良い面も持ちます。

■ 臨床的に応用することが難しい面もあるのですが、「良い汗」「悪い汗」があるといえましょう。

 

アトピー性皮膚炎患者の汗をメタボローム解析し、臨床症状との関連を検討した。

背景

■ 汗には皮膚のホメオスターシスを維持するために必要な活性成分と代謝物が含まれている。

アトピー性皮膚炎(atopic dermatitis ; AD)に由来する汗の成分変化が報告されている。

 

方法

■ ADの病因に及ぼす汗の構成成分の影響を長鎖するために、核磁気共鳴分光法に基づくメタボローム解析といった多面的な評価を行い、これらの特徴をADの臨床的特徴にリンクさせた。

 

結果

ADの汗の特徴は、タンパク質、抗菌ペプチド、グルコース濃度が大きく変化しており、 ADの汗中のpH、ナトリウム、他の塩量は、健常者と同等だった。

急性炎症を発症しているAD患者からの汗は、健常者または慢性炎症のあるAD患者の汗よりも、グルコース濃度がより大きく増加していた。

グルコースの皮膚への塗布は、バリア障害マウスにおける経表皮水分蒸散量の回復を遅延させた。

■ さらに、グルコーストランスポーターであるGLUT2は、AD患者からの汗腺の内腔で高度に発現していた。

■ 慢性炎症のあるAD患者は、GLUT2 mRNA発現が有意に増加しており、グルコース量は正常な汗に近い値を示した。

 

結論

■ この検討はサンプルサイズが小さいにもかかわらず、グルコース量の上昇はADの重症度やフェノタイプの影響を受ける可能性があると推測する。

■ この報告がADの臨床症状に及ぼす汗成分の影響についての新しい洞察をもたらすことを望む。

 

結局、何がわかった?

 ✅急性炎症を発症しているアトピー性皮膚炎からの汗は、健常者や慢性炎症のあるアトピー性皮膚炎患者の汗よりも、グルコース濃度がより大きく増加していた。

 ✅また、グルコースを皮膚へ塗布すると、バリア障害マウスにおける経表皮水分蒸散量の回復を遅らせた。

 

急性炎症があるアトピー性皮膚炎の汗にはグルコースが増加し、改善を阻害しているかもしれない。

■ 汗中のグルコース濃度に関する検討はすくなく、今後の発展が期待される分野です。

 

今日のまとめ!

 ✅アトピー性皮膚炎の急性炎症があると汗中のグルコース濃度が上昇する。

 

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