秋産まれの子どもは、アトピー性皮膚炎を発症しやすい?

秋に生まれた子どもたちは、アレルギー疾患を発症する可能性が高い?

■ 乳児のアトピー性皮膚炎の発症について、出生季節との関連性が指摘されています。

■ 最近のメタアナリシスでも、北半球において、秋生まれや冬生まれの子どもたちとアトピー性皮膚炎の発症との間には、正の有意な関連性が認められています(Calov M, Alinaghi F, Hamann CR, Silverberg J, Egeberg A, Thyssen JP. The Association Between Season of Birth and Atopic Dermatitis in the Northern Hemisphere: A Systematic Review and Meta-Analysis. J Allergy Clin Immunol Pract 2020; 8:674-80.e5.)。

■ そこで、最近の日本における大規模コホートの結果を共有します。

 

Tsuchida A, Itazawa T, Matsumura K, Yokomichi H, Yamagata Z, Adachi Y, et al. Season of birth and atopic dermatitis in early infancy: results from the Japan Environment and Children’s Study. BMC Pediatrics 2023; 23:78.

日本人の大規模コホート研究における81,615人の乳児のデータから、出生月や季節と4つの異なる転帰(生後1ヵ月、6ヵ月、1歳時の湿疹、1歳までの医師診断によるアトピー性皮膚炎)との関連を検討した。

背景

■ アトピー性皮膚炎(AD)は、春生まれの子どもよりも秋生まれの子どもに多く見られることが知られている。
■ そこで本研究では、出生季節と湿疹、またはADとの関連が出生後のどの時期に観察されるかを明らかにすることを目的とした。
■ さらに、日本人の大規模コホートにおいて、乳児湿疹およびADの有病率が性別や母親のアレルギー疾患歴によって異なるかどうかを検討した。

方法

■ 81,615人の乳児のデータを基に、出生月や季節と4つの異なる転帰(生後1ヵ月、6ヵ月、1歳時の湿疹、1歳までの医師診断によるAD)との関連を多重ロジスティック回帰分析で評価した。
■ また、母親のアレルギー疾患歴がこれらの転帰に与える影響を乳児の性別で層別化して分析した。

結果

■ 生後1ヵ月時の湿疹のリスクは7月生まれの乳児で最も高かった。
■ 一方、秋生まれの乳児は春生まれの乳児に比べて、6ヵ月時の湿疹(調整オッズ比[aOR] 2.19;95%信頼区間[CI] 2.10-2.30)、1歳時の湿疹(aOR 1.08;95%CI 1.02-1.14)、1歳までの医師診断によるAD(aOR 1.33;95%CI 1.20-1.47)のリスクが高かった。

■ 湿疹とADは、母親にアレルギー疾患の既往がある乳児、特に男児でより頻繁に見られた。

 

結論

■ この調査結果は、ADの有病率が観察される季節と関連していることを示している。
■ 湿疹は秋生まれの乳児に多く、この傾向は生後6ヵ月の乳児で特に顕著であった。
■ 秋生まれのリスクは、母親にアレルギー疾患の既往がある男児で特に高かった。

■ 試験登録: UMIN000030786

 

 

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