Yanagida N, et al. Increasing specific immunoglobulin E levels correlate with the risk of anaphylaxis during an oral food challenge. Pediatric Allergy and Immunology 2018; 29:417-24.
食物特異的IgE抗体価は、負荷試験陽性と関連します。では、アナフィラキシー率とは関係する?
■ 特異的IgE抗体価は、負荷試験陽性と関連することはすでに多くの報告があり、臨床応用されています。
■ しかし、アナフィラキシーと特異的IgE抗体価の関連は、十分わかっていませんでした。
食物経口負荷試験2272例(年齢中央値 3.5歳、卵 1166例、乳 589例、小麦 388例、ピーナッツ 129例)と、特異的抗体価、アナフィラキシーの関連を調査した。
背景
■ 食物アレルギーを診断するには、経口食物負荷試験(Oral food challenges; OFC)が必要である。
■ しかし、OFCはアナフィラキシーを引き起こす可能性がある。
■ 原因となる食物に対する特異的免疫グロブリンE(specific immunoglobulin E; sIgE)高値は、OFC陽性と関連している。
■ 今日まで、OFC陽性患者における重篤な症状またはアナフィラキシーに関連する因子を示すデータは見出されていない。
■ 本研究では、全研究集団とOFC陽性患者において、負荷食物のsIgEと、OFC中のアナフィラキシーの関連を明らかにすることを目的とした。
方法
■ この横断研究は、2012年6月から2016年12月までに食物アレルギーの診断または耐性獲得の確認のためにオープンOFCを実施中の症状および重症度のデータを収集した。
■ さらに、OFC中のアナフィラキシーの危険因子を分析した。
結果
■ 計2272例(年齢中央値:3.5歳、卵 1166例、乳 589例、小麦 388例、ピーナッツ 129例)を解析した。
■ OFC陽性 979人のうち334人にアナフィラキシー反応を認めた。
■ OFC実施中のアナフィラキシーと、sIgE高値には統計的に有意な関連が観察された(オッズ比:2.71,95%信頼区間 1.94-3.78、第1三分位値と比較した第3三分位値、P‐value for trend <0.001) 。
■ さらに、消化管、呼吸器、心臓血管、神経学的症状は、負荷食物sIgE高値と統計学的に有意に関連していた。
結論
■ OFC実施中の皮膚症状を除くすべての症状のリスクはsIgEの増加とともに増加し、その結果として、OFC中のアナフィラキシー症状も増加させた。
■ sIgEが胃腸管、呼吸器、心臓血管、および神経学的症状またはアナフィラキシーの発症率にどのように影響するかのメカニズムは不明である。
■ したがって、さらなる研究が必要である。
結局、何がわかった?
✅食物経口負荷試験実施中のアナフィラキシーと、食物特異的IgE抗体価高値には統計的に有意な関連がある(オッズ比:2.71,95%信頼区間 1.94-3.78、第1三分位値と比較した第3三分位値、P‐value for trend <0.001)。
データを読むのに、注意点があるようです。
■ 特異的IgE抗体価が高値で症状陽性率が高ければ、アナフィラキシー率もあがることは想像できますが、プロバビリティカーブとして示されたのが大事な点でしょう。
■ また、この研究は、診断もしくは耐性獲得を目的とは書いてあるものの、少量負荷試験後に陰性であれば中等量の負荷試験にすすむという方法をとっており、それで先行研究より陽性率が低くなっているようです。ですので、EAACIガイドラインより負荷量がすくないことをLimitationとして挙げられていました。
■ それでもアナフィラキシーは少なくないといえ、負荷試験はやはり慎重にするべきでしょう。
今日のまとめ!
✅特異的IgE抗体価高値は、負荷試験によるアナフィラキシー発生リスクと関連がある。