Janmohamed SR, Oranje AP, Devillers AC, et al. The proactive wet-wrap method with diluted corticosteroids versus emollients in children with atopic dermatitis: a prospective, randomized, double-blind, placebo-controlled trial. Journal of the American Academy of Dermatology 2014; 70(6): 1076-82.
「チュビファースト」とウェットラップ法。
アトピー性皮膚炎には手湿疹が出来やすいんだけど、手湿疹にステロイドを繰り返し塗るより、保湿を繰り返し塗った方が効果が高かったという報告もあるよ。
やっぱり回数を塗るのって、大事なのかもしれないね!
そういうときには、「チュビファースト」を使う方法もあるよ。
見た目はともかく結構優れものなので、出費に折り合える患者さんなら勧める価値はあるかもしれない。
一応、エビデンスもあるんだ。
今回は、チュビファーストを使った「ウェットラップ法」の報告をご紹介しましょう。
6ヶ月から10歳の重症アトピー性皮膚炎児に対し、保湿剤の塗布と、うすめたステロイド外用薬によるウェットラップ法(WWT)の治療効果を比較した。
背景
■ 重症アトピー性皮膚炎(atopic dermatitis; AD)の小児に対し、ウェットラップ治療(Wet-wrap treatment; WWT)が比較的効果的な治療法として提唱されている。
■ そして、WWTはしばしばADの危機的介入として役立つ。
目標
■ 我々は、ステロイド治療の使用頻度を漸減するプロアクティブなスケジュールを使用し、重症アトピー性皮膚炎児に対し4週間皮膚保湿剤を使用すると比較した、希釈したステロイドによるWWTの評価を試みた。
方法
■ 6ヶ月から10歳の小児において、重症アトピー性皮膚炎(objective-SCORAD ≧40±5)に対し、保湿剤群(セトマクロクリーム+ワセリン20%)と、希釈したステロイド外用薬(モメタゾンフロエート0.1%軟膏1:3と、マスクを使用した顔面に対するモメタゾンフロエート0.1%軟膏 1:19)を使用したWWTを比較する、ランダム化二重盲検プラセボ対照試験を実施した。
■ プライマリアウトカムはobjective SCORADの改善であった。
■ セカンダリアウトカムは、POEM(Patient-Oriented Eczema Measure)とQOL指数が含まれた。
結果
■ 希釈したコルチコステロイドを使用したWWTは、保湿剤によるWWTよりもより速く効果があり、有効だった。
■ 6〜9歳と0〜3歳の年齢層で最良の結果が得られた。
■ objective SCORADによって評価された有効性の差は、すべての測定時点で有意だった。
■ これは、QOL指標にもにもあてはまった。
制限事項
■ 研究群は比較的少数だった。
結論
■ 重症アトピー性皮膚炎に対するWWTは、少なくとも4週間にわたる効果的な治療選択肢である。
結局、何がわかった?
✅小児重症アトピー性皮膚炎に対する4週間の希釈したコルチコステロイドを使用したWWTは、保湿剤によるWWTよりもより速く効果があった。
ウェットラップ法はひとつの治療選択肢だが、ウェットラップに使用するチュビファーストは自費購入になる。
■ 比較対象が保湿群ですので、さすがに差が出そうには思いますが、ウェットラップ法の有効性をみた検討になり、有効であったという結果でした。
■ ウェットラップはこのように、外用をはがれにくくして効果をあげる方法として使われますが、自費で購入しないといけないのが問題ではあります。そこで私は、ここぞと言うときにしか勧めていません。
■ また、太さが色々あって、合うものを購入する必要性がありますので注意が必要です。
チュビファースト (緑) :5歳未満の手足、5歳以上の腕・手。
チュビファースト (赤):生後4か月未満の腕、指等。
チュビファースト (青) 5歳以上の脚、成人の腕等。
チュビファースト (黄) 胴体・頭部や、成人の脚等。
今日のまとめ!
✅希釈したステロイド外用薬によるウェットラップ法は、小児重症アトピー性皮膚炎に有効である。