ホスホジエステラーゼ4(PDE4)阻害剤は、新規に開発が進んでいる
■ サイトカイン(IL-17、TNF-α、IL-23など)の産生を抑制するホスホジエステラーゼ4(PDE4)阻害剤は、すでに内服薬として乾癬に対して臨床に使用されてきていますが、アトピ—性皮膚炎へ外用薬としての検討がすすんでいます。
■ すでに米国では商品名「Eucrisa」としてFDAが承認しているようです。
Paller AS, et al. Efficacy and safety of crisaborole ointment, a novel, nonsteroidal phosphodiesterase 4 (PDE4) inhibitor for the topical treatment of atopic dermatitis (AD) in children and adults. J Am Acad Dermatol 2016; 75:494-503.e6.
2歳以上の軽症もしくは中等症のアトピ—性皮膚炎に対して1日2回28日間塗布を行い、改善率を評価した。
背景
■ アトピー性皮膚炎(atopic dermatitis; AD)のためのさらなる外用治療はリスクを最小にしながらの救済を提供する必要がある。
目的
■ 2つの第III相AD試験(AD-301:NCT02118766; AD-302:NCT02118792)において、ホスホジエステラーゼ4阻害薬であるcrisaborole軟膏の有効性と安全性を評価した。
方法
■ 試験評価者によるStatic Global Assessment(ISGA)が軽症もしくは中等症である2歳以上の患者を1日2回28日間塗布である、2件の同じデザインの基剤対照の二重盲検試験を登録しランダム化した(crisaborole:基剤=2:1)。
■ 主要評価項目は、試験開始時から2段階以上の改善を示した、ISGAの試験開始29日目の軽快(0)/ほぼ軽快(1)だった。
■ 付加的分析には、ISGAスコアを達成するまでの期間、軽快/ほぼ軽快を達成した患者の割合、AD症状の重症度低下、そう痒改善までの期間が含まれた。
結果
■ 基剤により処置された患者よりも、crisaborole軟膏で処置された患者のほうがISGAスコアの成功を達成した(≧2グレードの改善; AD-301: 32.8% vs 25.4%, P = .038; AD-302: 31.4% vs 18.0%, P < .001)(軽快/ほぼ軽快の割合 (51.7% vs 40.6%, P = .005; 48.5% vs 29.7%, P < .001)。
■ crisaborole軟膏で治療された患者は、基剤による治療患者よりも早くISGAスコアの成功および掻痒の改善を達成した(両方ともP≦0.001)。
■ 治療関連の有害事象はまれで、軽症から中等症の重症度だった。
制限事項
■ 研究期間が短期間であることはLiminationとなる。
結論
■ crisaborole軟膏は、全体的な疾患の重症度、そう痒、他のADの徴候を含む、有効な安全性プロファイルとすべての有効性の測定において、改善を示した。
結局、何がわかった?
✅ 2歳以上のアトピ—性皮膚炎患者に対しPDE4阻害薬であるcrisaborole軟膏で治療すると、対照よりもISGAスコアの改善率がよかった(≧2グレードの改善; AD-301: 32.8% vs 25.4%, P = .038; AD-302: 31.4% vs 18.0%, P < .001)(軽快/ほぼ軽快の割合 (51.7% vs 40.6%, P = .005; 48.5% vs 29.7%, P < .001)。
新規機序の外用薬で、2歳以降に使用できるようになれば、小児のアトピ—性皮膚炎治療にも新たな武器が増えることになるでしょう。
■ ポイントは2歳以降で使用できるということでしょう。
■ 現状、生物学的製剤が小児には使用できる見込みが薄いことから、新規機序の外用薬は重要です。
■ 皮膚の刺激感があるとされていますのでもちろん慎重に導入すべきでしょうが、ステロイド以外のアプローチができるようになってくれば助かることもおおいでしょう。
今日のまとめ!
✅ 新規抗炎症外用薬PDE4阻害薬は皮膚の刺激感が報告されているものの、二つのランダム化比較試験で有効性が報告されている。