亜鉛の内服は、アトピー性皮膚炎の治療に有効か？

2019年3月4日 2019年3月4日

pedallergy2016

亜鉛とアトピー性皮膚炎の関連？

■ アトピー性皮膚炎と亜鉛が関連するという報告があるそうです。

■ アトピー性皮膚炎とビタミンDの関連などは文献が増えていますが、亜鉛はノーマークでした。

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Gray NA, et al. Zinc and atopic dermatitis: a systematic review and meta-analysis. J Eur Acad Dermatol Venereol 2019.[Epub ahead of print] PMID: 30801794

亜鉛とアトピー性皮膚炎の関係を検討した観察研究14件、ランダム化比較試験2件のシステマティックレビューを実施した。

背景

■ 亜鉛は、バリアおよび免疫機構を介して皮膚の健全性における中心的な役割を果たしており、アトピー性皮膚炎（atopic dermatitis ; AD)の病因にも関連している可能性がある。

■ しかし、亜鉛とADの関係についてはほとんどわかっていない。

方法

■ 1）亜鉛レベルもしくは亜鉛欠乏とADに関連性があるかと、2）AD治療において亜鉛内服の有効性を決定するためにシステマティックレビューを実施した。

■ 対照に対するAD患者の亜鉛レベルもしくは亜鉛欠乏症に関する観察研究、AD患者に対する亜鉛内服を検討したRCTについて、PubMed、Scopus、Web of Science、報告の参考文献を検索した。

■ 観察研究では、ランダム効果モデルを使用して、95％信頼区間（onfidence intervals; CI）、プールされた標準化平均差（standardised mean difference; SMD）、オッズ比（OR）を計算した。

結果

■ 観察研究14件、RCT2件が含まれた。

■ プールされたSMDは、血清亜鉛（SMD 0.66, 95％CI 0.21～1.10, p = 0.004）、毛髪中亜鉛 (SMD 0.95,95％CI 0.38～1.52,p = 0.001)、赤血球中亜鉛 (SMD 0.95, 95％CI 0.38～1.52,p = 0.001)において、対照と比較したAD患者における亜鉛レベルが有意に低かった。

■ 3研究からのプールされた未調整データは、亜鉛欠乏症でないの患者と比較し、亜鉛欠乏症の患者におけるADのオッズが有意でないものの増加した（OR = 1.50、95％CI 0.71-3.16、p = 0.28）。

■ 亜鉛内服を検討した RCT1件は、亜鉛欠乏症のあるAD患者においてADの範囲および重症度の改善を示したが、すべてのAD患者における別のRCTは有意な改善を示さなかった。

■ すべての研究は、研究の質は低いもしくは中程度だった。

結論

■ 血清、髪の毛、赤血球の亜鉛濃度が低いとADと関連があると結論する。

■ しかしながら、含まれた研究の質が低いため、これらの結果の解釈は問題となる。

■ 亜鉛レベル低値とADの関連性を確認するためには質の高い観察研究が必要であり、ADの治療や予防のための亜鉛内服の利点を評価するためにはRCTが必要である。

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結局、何がわかった？

　✅ アトピー性皮膚炎患者における亜鉛レベルは、対照と比較して、血清亜鉛（標準化平均差[SMD] 0.66, 95％CI 0.21～1.10, p = 0.004）、毛髪中亜鉛 (SMD 0.95,95％CI 0.38～1.52,p = 0.001)、赤血球中亜鉛 (SMD 0.95, 95％CI 0.38～1.52,p = 0.001)が有意に低かった。

　✅ 亜鉛欠乏症でないの患者と比較して、亜鉛欠乏症の患者におけるアトピー性皮膚炎患者のリスクが有意でないものの増加した（OR = 1.50、95％CI 0.71-3.16、p = 0.28）。

　✅ 亜鉛内服を検討したランダム化比較試験1件では、亜鉛欠乏症のあるアトピー性皮膚炎患者において改善を示唆したが、アトピー性皮膚炎全体を検討した別のランダム化比較試験では有意な改善を示さなかった。