以下、論文紹介と解説です。
Vandenplas O, et al. Impact of Rhinitis on Work Productivity: A Systematic Review. J Allergy Clin Immunol Pract 2018; 6:1274-86.e9.
アレルギー性鼻炎が労働生産性に及ぼす影響を検討した、観察研究19件と介入研究9件に関するシステマティックレビューを実施した。
背景
■ アレルギー性鼻炎(Allergic rhinitis; AR)は、労働生産性の低下と関連する実質的な社会経済的影響があることがいよいよ認識されているが、利用可能な情報は断片化されたままである。
目的
■ このシステマティックレビューは、労働時間の損失(欠勤)と作業中のパフォーマンス低下(presenteeism)を含む、労働生産性に対するARの負担を定量的に推定するための最近利用可能である情報を要約する。
方法
■ Medline検索により、ARが労働生産性に及ぼす影響に関して検討した原著論文(2005年から2015年まで)を検索した。
■ 検証された労働生産性(Work Productivity)と労働行動障害(Activity Impairment; WPAI)アンケートによって収集されたデータを報告する研究における結果をプール分析した。
結果
■ この調査では、観察研究19件と介入研究9件が特定された。
■ 6件の研究が経済的評価を報告していた。
■ WPAIに基づく研究のプール解析において、推定3.6%(95%信頼区間 [CI] 2.4-4.8%)がARにより労働時間を失っており、35.9%(95% CI 29.7-42.1%)がARにより作業遂行能力が障害されることが示された。
■ 経済的評価では、労働生産性の損失に関連した間接的コストがARにおけるコスト全体における主な原因であり、主に作業中のパフォーマンス低下(presenteeism)から生じることが示された。
■ AR症状の重症度は、仕事の生産性に対するARのより大きな影響と関連する最も一貫した疾患関連因子であり、眼症状と睡眠障害は仕事の生産性に独立して影響する可能性があった。
■ 概して、ARの薬物治療は仕事の生産性に有益な効果を示した。
結論
■ このシステマティックレビューは、ARによる労働生産性の低下の大きさに対し要約した推定値を提供し、その主な決定要因を特定した。
■ この情報は、臨床医と保健政策立案者における双方の指針となる可能性がある。
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限られた医療費をどのように公平な医療に結びつけるのかを考えなければならない時期に来ているのかもしれません。

■ ここで申し上げたいのは、この報告を持って花粉症薬を保険からはずす動きに反対したいという意味ではありません。
■ この研究は、アレルギー性鼻炎が労働生産性を下げること、そして薬物治療がその低下をある程度防ぎうるということを示したにすぎません。
■ しかし一方で、抗ヒスタミン薬を中心とした花粉症に対する薬がOTCでの治療に移行した場合に日本全体でコストを下げることができるのかは、「やってみないとわからない」状況であり、政策にも大きく依存するようにも思います。
■ というのも、アレルギー性鼻炎に対する抗ヒスタミン薬が、「費用対効果が高い」という報告もあり(Bousquet J, et al. Allergy 2005; 60:788-94.)(Sullivan PW, et al. Current medical research and opinion 2010; 26:1389-97.)、その薬剤コストが大きく下がらなければ、労働生産性の低下のほうが、薬剤コストより高くなることが予想されるからです。
■ そして、日本全体として労働生産性がさがってしまうなら、保険から花粉症薬をはずすことが「大きな損」になる可能性もあるでしょう。
■ さらに一方で、医療は究極のアウトカムでありインパクトの大きい『生死』だけではなく『生活の質(QOL)』にも配慮する必要があります。
■ そのQOLに配慮した医療を、どこまで保険適応に含めるのか?を考えなければならない時代が来たといえます。
■ また、アレルギー性鼻炎はそれだけでなく、喘息のコントロールにも影響します。
■ 気管支喘息がある場合のアレルギー性鼻炎の併発率はきわめて高く、その治療が保険でカバーされないとなると、また説明の時間が伸びるかなあ、、とも思いますし、喘息の増悪率が全体として上る可能性もあるかな、、と考えます。
■ 保険診療がまったなしの状況であることも理解してはいますし、今後、保険によるカバーをどこまでするか?は、花粉症薬だけでなく活発化する可能性があります。今後の動きを注視しておきたいと思います。
今日のまとめ!
✅ アレルギー性鼻炎は労働生産性を低下させるが、薬物治療はその回復に有効である。











