抗菌作用のある物質を産生するブドウ球菌を自家移植すると、アトピー性皮膚炎が改善するかもしれない

アトピー性皮膚炎患者の皮膚から検出される黄色ブドウ球菌は、皮膚症状を悪化させうる。では、黄色ブドウ球菌を減らしうる菌を自家移植すると皮膚症状は改善するのか?

■ アトピー性皮膚炎は、皮膚のマイクロバイオームの多様性が低下する(dysbiosis)ことが特徴の一つであり、『重症のアトピー性皮膚炎の』患者さんから検出された黄色ブドウ球菌は皮膚を悪化させうることも指摘されています。

■ そして、表皮ブドウ球菌は抗菌ペプチドなどの産生を通して黄色ブドウ球菌の定着を阻害することがわかっています。

■ ブドウ球菌にも多くの種類があり、抗菌ペプチドを産生するような菌もあり、その移植により皮膚症状を改善させうるのではないかという仮定がなりたちます。

■ そのような介入がランダム化比較試験デザインで実施された報告がなされました。

 

この論文でわかったことを、ざっくりまとめると?

中等症以上のアトピー性皮膚炎患者11人を、自己由来の抗菌作用を有するコアグラーゼ陰性ブドウ球菌を再塗布する5人、基剤を塗布する6人にランダム化し、皮膚症状の改善度などを比較したところ、

 ✅ 自己由来の抗菌作用を有するコアグラーゼ陰性ブドウ球菌を塗布した患者の黄色ブドウ球菌のコロニー形成は、基剤投与群よりも少なくなり、投与後4日間持続した。

 ✅ 自己由来の抗菌作用を有するコアグラーゼ陰性ブドウ球菌を塗布した患者の11日目のEczema Area And Severity Index(EASI)スコア(変化率の平均 -48.45; 95%CI -84.34~-12.55)は、基剤による治療群(変化率の平均 -4.52; 95%CI -36.25~27.22; P = 0.04)より有意に改善した。

 

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