日本の乳児において、離乳食へのアレルゲンの導入は変化しているか?

日本人の離乳食の導入は変化してきているか?

■ 卵や乳、小麦を離乳食から除去するひとは減りましたが、ナッツやそばなどはどうか?という三重県で行われたアンケート調査です。

 

Takase T, Nagao M, Kanai R, Nishida T, Arima T, Iwai F, Yamada S, Nakamoto M, Hirayama M, Fujisawa T. Intake of allergenic foods at 1.5 years and 3 years of age in a general child population in Japan: a cross-sectional study. Environmental Health and Preventive Medicine 2023; 28:6-6.

1歳半児と3歳児の乳児健診で、保育者を対象としたアンケート調査を実施し、(1)ISAAC質問票によるアレルギー疾患症状の有無,(2)保育者が子どもに与えることを避けている食品について調査した。

背景

■ 最近の研究によると、小児における食物アレルギーの発症には、アレルゲンとなりうる食物の導入時期が重要であることが示唆されている。

■ この横断研究は、日本の一般的な幼児集団におけるアレルゲン食物摂取の実態を明らかにすることを目的とした。

 

方法

■ 2020年秋の1歳半児と3歳児の乳児健診において、保育者を対象としたアンケート調査を実施した。

■ 保育者には,(1)ISAAC質問票によるアレルギー疾患症状の有無,(2)保育者が子どもに与えることを避けている食品について質問した。

■ 順序ロジスティック回帰分析を行い、食物除去に関連する因子を明らかにした。

 

結果

■ 1720人の保護者にアンケートを配布し、1603人(93%)から回答があった。

■ 回答者は1.5歳児健診と3歳児健診に参加した771人と832人の保育者から構成されていた。

■ アレルギー疾患の有病率は、日本における最近の疫学調査と同程度であり、代表的な集団である可能性が示された。

■ 1歳半では、50%以上の子どもがピーナッツ、木の実、魚卵、貝類、ソバを除去していた。

■ 3歳では、これらの食物の回避率は低下していたが、依然として18.8%から32.0%だった。

■ 一方、日本人に多いアレルゲン食品の上位2つである鶏卵と牛乳の除去率は、1歳半で2.8%と1.5%とかなり低く、3歳ではそれぞれ1.4%と0.7%に減少していた。

■ 順序ロジスティック解析の結果、鶏卵、牛乳、小麦の除去は食物アレルギー診断と、鶏卵の除去は湿疹と関連したが、その他の食物の除去は食物アレルギーの危険因子との関連は認められなかった。

 

結論

■ 養育者は、アレルギーの危険因子とは無関係に、様々な食物を幼児に与えることを避けていた。

■ アレルゲン食物の導入が遅れると、その食品に対するアレルギーの発症リスクが高まることが報告されているため、今回の結果は、現在の食習慣や推奨する食物との関連で食物アレルギーの発症を将来的に調査することが必要である。

 

※今後、ブログの医学記事紹介は簡素化していく予定です。

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