早期離乳食開始にガイドラインを改定したスウェーデンでは、食物アレルギーの発生に変化はあったのか?

離乳食の早期開始が食物アレルギー予防に効果がある。世界の指針は変わってきたか?

■ 小児の食物アレルギーは近年増えています。
■ そのため、アレルギーとして多い卵やピーナッツなどの食品を早い段階で取り入れることが、アレルギーを防ぐのに役立つ可能性が高いという知見がふえ、生後4~6カ月にこれらの食品を食べさせ始めることを勧める地域もあります。

■ 日本では、鶏卵に関しては2019年に授乳・離乳の支援ガイドが改定されました。

■ そしてスウェーデンでは、2019年に乳児の食事に関するアドバイスが更新され、生後1年以内に牛乳、卵、ナッツ、豆、魚を導入することが勧められるようになったそうです。

■ では、実際にはどれくらい離乳食早期開始が行われるようになったのでしょうか?

Österlund J, Granåsen G, Bodén S, et al. Revised Swedish infant feeding guidelines are associated with earlier introduction of allergenic foods. Journal of Allergy and Clinical Immunology. 2024;153(2):461-470.

スウェーデンで2016年6月から2018年12月に生まれた小児(n=1925)と2019年6月から2021年4月に生まれた小児(n=1761)に関し、改訂されたガイドラインに従い、生後1年間に卵、豆類、大豆製品、ピーナッツ、アーモンド、カシューナッツを摂取する頻度を変更したかどうかを確認した。

背景

■ ランダム化比較試験により、ピーナッツや卵などのアレルゲン食品を早期に導入することで、ハイリスク児の食物アレルギーを軽減できることが実証されている。
■ 多くの国際的なガイドラインが生後1年目におけるアレルゲン食品の導入を推奨しており、それに従ってスウェーデン国立食品機関は2019年6月に最新のガイドラインを発表した。

目的

■ 我々の目的は、スウェーデンにおける固形食品の導入に関する改訂国家ガイドラインの発表以降、アレルゲン食品の導入年齢および摂取頻度に変化があったかどうかを調べることであった。

方法

■ NorthPop出生コホート研究のデータを用いて、2016年6月から2018年12月生まれの小児(n=1925)と2019年6月から2021年4月生まれの小児(n=1761)を比較した。
■ 食物導入、湿疹、食物アレルギーに関するデータは、Webベースの質問票を用いて18ヶ月齢まで前向きに収集した。18ヶ月齢時にIgE感作を評価した。

結果

■ 生後1年間に卵、豆類、大豆製品、ピーナッツ、アーモンド、カシューナッツを摂取したことがある参加者の割合は、国のガイドライン改訂実施後に増加した。
■ 最も有意な変化がみられたのは、豆類(55.2%から69.8%[調整オッズ比=1.90(95%CI=1.62-2.24)])とピーナッツ(29.2%から43.2%[調整オッズ比=1.87(95%CI=1.55-2.24)])で、摂取頻度も増加していた。

■ 対象食物に対する湿疹、食物アレルギー、感作の有病率に差はみられなかった。

結論

■ 改訂ガイドラインの発表以来、一般集団の乳児はより早く、より頻繁にさまざまなアレルゲン食品を摂取している。
■ しかしながら、アレルギー疾患の初期症状は変化していない。

 

 

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