アトピー性皮膚炎の重症度が高くなるリスク因子はなにか?

アトピー性皮膚炎の重症度を予測する因子とは?

■ アトピー性皮膚炎の重症度が高くなるリスクファクターはさまざまですが、JEADVにフィンランドにおける横断研究がありました。

 

Salava A, Salo V, Leppänen J, Lauerma A, Remitz A. Factors associated with severity of atopic dermatitis – a Finnish cross-sectional study. Journal of the European Academy of Dermatology and Venereology 2022; 36:2130-9.

4.79歳から79.90歳(平均32.08歳)のフィンランド人AD患者502人を対象に、重症ADの関連因子に関する単施設での横断的観察研究を実施した。

背景

■ アトピー性皮膚炎(AD)の重症度関連因子として、早期発症、アレルギー疾患の併発、Th2タイプ炎症マーカー、フィラグリン変異などが注目されている。

 

目的

■ フィンランド人患者を対象に、重症ADの関連因子を検討する。

 

方法

■ 4.79歳から79.90歳(平均32.08歳)のAD患者502人を対象に、単施設での横断的観察研究を実施した。

■ 疾患の重症度はRajka-Langeland重症度スコアとEASIで評価し、関連する臨床症状も評価した。

■ 発症、親族、アレルギ、その他の併存疾患に関するデータはレトロスペクティブに収集された。

■ 血清中の総IgE値、フィラグリン欠損変異、皮膚バリア障害に関連する遺伝子の機能変異を調査した。

結果

■ 重症ADで頻度の高い因子は、早期発症(P = 0.004, 95%CI 0.000-0.024) 、男性(P = 0.002, 95%CI 0.000-0.11) 、喫煙歴(P = 0.012, 95%CI 0.000-0.024) 、併存する喘息(P = 0.001、95%CI 0.000-0.011 )、palmar hyperlinearity(P = 0. 001, 95%CI 0.000-0.011)、手湿疹 (P = 0.013, 95%CI 0.014-0.059)、接触性アレルギー歴 (P = 0.042, 95%CI 0.037-0.096) が挙げられた。

論文より引用。

■ BMI(Body mass indices)(P < 0.000, 95%CI 0.000-0.011) や血清総IgE値(P < 0.000, 95%CI 0.000-0.011) は重症ADでより高かった。

■ アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、食物アレルギー、ピーナッツアレルギー、皮膚プリックテスト陽性、毛孔性角化症、単純ヘルペス感染歴、フィラグリンヌル変異、その他の遺伝子変異では差はみられなかった。

 

結論

■ フィンランド人患者における重症度の決定要因は、早期発症、男性、喫煙、過体重、喘息の併発、palmar hyperlinearity、手湿疹、IgE高値であると思われた。

■ 確認された重症度決定要因に関連した患者のサブタイプ分類は、経過予測、予後、目標とするAD管理に有用であると考えられる。

 

 

リスクファクターを意識して診療する必要性がある。

■ 国によっても変動する可能性のあるリスクファクターですが、重症AD患者(85.2%)のほとんどは2歳以前に発症し、軽症患者(69.5%)とは有意差があったとしており、早期発症のADをみることの多い小児科医は注意して見ておく必要性があるのではと思います。

 

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