アトピー性皮膚炎の新規薬 ジファミラスト(商品名モイゼルト)軟膏の長期試験の結果

外用PDE4阻害薬の長期試験結果。

■ 2018年にデュピルマブが成人の重症アトピー性皮膚炎の治療に大きな進歩をもたらし、その後、新しい薬がつぎつぎと使用可能になってきています。

■ そのうちのひとつ、外用PDE4阻害薬の第三フェーズ長期試験の結果が報告されています。

 

Saeki H, Imamura T, Yokota D, Tsubouchi H. Difamilast Ointment in Japanese Adult and Pediatric Patients with Atopic Dermatitis: A Phase III, Long-Term, Open-Label Study. Dermatology and Therapy 2022; 12:1589-601.

外用ホスホジエステラーゼ4(PDE4)阻害薬であるジファミラスト軟膏を成人患者 166人、小児患者 56人に1日2回、52週間継続し、効果と安全性を確認した。

はじめに

■アトピー性皮膚炎(atopic dermatitis; AD)の原因となる炎症性サイトカイン産生を制御するホスホジエステラーゼ4(Phosphodiesterase4; PDE4)は、ジファミラストによって選択的に阻害される。
■この第III相、長期、非盲検試験の目的は、日本人成人および小児AD患者におけるジファミラスト外用薬の安全性と有効性を評価することだった。

方法

■成人患者(n = 166)はジファミラスト 1%軟膏による治療を開始し、小児患者はジファミラスト 0.3%軟膏(n = 144)またはジファミラスト 1%軟膏(n = 56)により治療を開始した。
■治療は1日2回、52週間継続した。

論文より引用。試験プロトコール。

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■すべての患者は、治療前にInvestigator's Global Assessment(IGA)スコアが2(軽症)、3(中等症)、4(重症/非常に重症)であり、ADのある体表面積(body surface area; BSA)が5%以上であり、ADのあるBSAの上限は制限されていなかった。

結果

■治療中に成人120例(72.3%)や小児178例(89.0%)に治療に起因した有害事象(treatment-emergent adverse events; TEAE)が認められ、そのほとんどは重症度が軽症もしくは中等症だった。
■有害事象による治療中止は、成人13例(7.8%)、小児7例(3.5%)で報告された。
■治療関連有害事象は成人14例(8.4%)、小児16例(8.0%)に認められ、成人ではアトピー性皮膚炎(1.8%)、ざ瘡(1.2%)、小児ではアトピー性皮膚炎、色素沈着(各2.0%)が主なものだった。
■EASI(Eczema Area and Severity Index)-75の累積達成率は、52週時点で成人55.4%、小児73.5%であり、累積達成率は4週目から52週目にかけて増加した。

論文より引用。EASI(Eczema Area and Severity Index)-75の累積成功率 a:成人患者(n=166)、b:小児患者(n=200)。

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■また、IGAスコアの累積成功率はEASI -75と同じ傾向だった。

結論

■本研究は、日本人成人および小児AD患者において、ジファミラスト軟膏を1日2回、52週間使用した場合の忍容性および有効性を示すものであり、ADの長期治療薬として期待される。

 

 

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