ステロイド外用薬は、どれくらいのランク・期間・頻度で塗布すると副作用を起こしうるか?

ステロイド外用薬の長期間塗布時のデータは、さらに必要とされている。

■ アトピー性皮膚炎に対するステロイド外用薬は、現在でも第一線の治療薬です。

■ ただし、同じ場所に塗りつづけると、その部位の皮膚の菲薄化(薄くなる)などの副作用を起こす可能性があります。

■ このテーマの研究は数がほしいところですし、他のステロイド外用薬との比較も、さまざまな指標をみてみたいものです。

■ そのようなテーマの報告。

 

Aschoff R, Lang A, Koch E. Effects of Intermittent Treatment with Topical Corticosteroids and Calcineurin Inhibitors on Epidermal and Dermal Thickness Using Optical Coherence Tomography and Ultrasound. Skin Pharmacology and Physiology 2022; 35:41-50.

健常成人の前腕内側および手背に、酢酸ヒドロコルチゾン1%クリーム、メチルプレドニゾロンアセポナート0.1%クリーム、ベタメタゾンバレレート0.1%クリーム、主剤を含まないベースクリームを、週2回(1日1回)、ピメクロリムス1%クリームを週2回(1日2回)塗布し、その効果を検討した。

はじめに

■ アトピー性皮膚炎をはじめとする慢性炎症性疾患は、副腎皮質ステロイド外用剤(TCS)による積極的な治療が標準であるが、TCSの副作用として皮膚萎縮が懸念される。

方法

■ この 16 週間の評価者盲検プラセボ対照ランダム化比較試験には、健康な皮膚状態のボランティアが参加した。
■ 12週間にわたり、前腕内側および手背に酢酸ヒドロコルチゾン1%クリーム(HC)、メチルプレドニゾロンアセポナート0.1%クリーム(MPA)、ベタメタゾンバレレート0.1%クリーム(BMV)、主剤を含まないベースクリーム(Dermatop® Basiscreme)を、週2回(1日1回)、ピメクロリムス1%クリーム(PIM)を週2回(1日2回)塗布し、その効果を検討した。

■ 表皮と真皮の厚さは、それぞれ光コヒーレンス・トモグラフィーと高周波超音波で測定された。
■ さらに、皮膚萎縮と毛細血管拡張は接触型皮膚顕微鏡写真(Dermaphot®)により判定した。

結果

■ 8週間後および12週間後、BMVのみ両部位で有意な表皮の菲薄化が認められた。
■ 治療終了から4週間後、表皮の厚さはベースラインまで戻った。
■ 真皮の菲薄化、萎縮、毛細血管拡張は観察されなかった。

結論

■  MPA、HC、PIMは、特に慢性疾患における反復・長期治療により適していると考えられる。

 

 

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