デュピルマブによって治療された皮膚の細菌叢は、皮膚の臨床症状にかかわらず、正常にもどりやすくなるかもしれない

アトピー性皮膚炎の皮膚では、黄色ブドウ球菌が優勢になっている。

■ アトピー性皮膚炎の皮膚では黄色ブドウ球菌が多く定着することが判明しており、アトピー性皮膚炎の悪化に関係することが知られています。

■ そして最近、生物学的製剤デュピルマブを使用すると、『皮膚の改善より先に』細菌叢が改善することが示されました。

Hartmann J, Moitinho-Silva L, Sander N, Harder I, Häsler R, Rodriguez E, et al. Dupilumab but not cyclosporine treatment shifts the microbiome towards a healthy skin flora in patients with moderate to severe atopic dermatitis. Allergy; n/a.

アトピー性皮膚炎患者157人に対し、デュピルマブまたはシクロスポリンによる治療を行い、治療前・3ヶ月後に皮膚細菌叢を確認した。

背景

■ アトピー性皮膚炎(Atopic dermatitis; AD)患者では、皮膚マイクロバイオームが変化しており、これは炎症の指標となるだけでなく、促進因子となる可能性がある。
■ そこで、TREATgermanyレジストリの患者を対象に、AD患者の皮膚マイクロバイオーム、臨床データ、全身療法への反応との関連性を調査することを目的とした。

方法

■ 患者157人の皮膚スワブを、デュピルマブまたはシクロスポリンによる治療前と3ヶ月後に、16S rRNA遺伝子アンプリコンシーケンスでプロファイリングした。
■ 比較のために、258人の集団ベースの健康なコントロールの16Sマイクロバイオームデータを使用した。
■ 疾患の重症度は、EASI(Eczema Area and Severity Index)などの確立された指標を用いて評価された。

結果

■ 以前に示したS. aureusの存在量および細菌α多様性と、EASIで測定されるADの重症度との相関を確認した。
■ デュピルマブによる治療により、細菌群集は健常対照で見られるパターンにシフトした。
■ 病変部や非病変部の皮膚において、ブドウ球菌、特に黄色ブドウ球菌の相対的な存在量は著しく減少し、一方、S. hominisの存在量は増加した。
■ これらの変化は、臨床的改善の度合いとはほとんど無関係であり、Cyclosporineでは観察されなかった。

結論

■ シクロスポリンではなくデュピルマブの全身投与は、臨床効果とは無関係に健康な皮膚マイクロバイオームを回復させる傾向があり、IL-4RA遮断がマイクロバイオームに対して潜在的な効果を持つことを示している。

 

 

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