妊娠中の加熱式タバコは、子どものアレルギー疾患の発症リスクを大きく上げる

妊娠中の加熱式タバコは、子どものアレルギー疾患を増やすリスクになるか?

■ 受動喫煙は、子どもの喘息や感染症のリスクになることはよく知られています。

■ 一方で、加熱式タバコ(IQOSなど)は、急速に使用する方が増えており、 2019年の新型コロナウイルスパンデミック中、日本の20-39歳の15%以上が吸っていたことが報告されています(Odani S, Tabuchi T. Prevalence of heated tobacco product use in Japan: the 2020 JASTIS study. Tobacco control. 2022;31(e1):e64-e65.)。

■ では、妊娠中の加熱式タバコの使用は、子どものアレルギー疾患を増加させるのでしょうか?

■ 最近のAllergy誌に、その結果が報告されました。

 

Zaitsu M, Kono K, Hosokawa Y, Miyamoto M, Nanishi K, Okawa S, et al. Maternal heated tobacco product use during pregnancy and allergy in offspring. Allergy 2023; 78:1104-12. Allergy; n/a.

5688人の出産された女性とその乳児に関し、加熱式タバコの禁煙状況を確認し、生まれてきた子どものアレルギー疾患の発症リスクを検討した。

背景

■ 妊娠中の母親の加熱式タバコ製品(heated tobacco products; HTP)の使用と、子孫のアレルギー発症との関連については、ほとんど知られていない。
■ 本研究では、母親のHTPの喫煙が子孫のアレルギーと関連するかどうかを明らかにし、潜在的な用量反応関係を評価することを目的とした。

方法

■ 2021年7月から8月にかけて日本で実施されたこのウェブベースの横断調査では、産後の女性と乳児(3歳未満)の5688組を調査した。
■ 乳児喘息、鼻炎、結膜炎、アトピー性皮膚炎の臨床診断が報告された。
■ マルチレベルポアソン回帰を用いて、妊娠期間ごとに分類されたHTP喫煙カテゴリーにおける乳児のアレルギーの有病比(prevalence ratios; PR)と95%信頼区間(CI)を推定し、母親の喫煙やパートナーの喫煙状況などの潜在的共変量で調整した。 非喫煙者は参照グループとした。

結果

■ 計2.4%の女性が妊娠中にHTPを吸入していた。
■ アレルギーは7.8%の乳児に発生した。
■ アレルギーの有病率は、妊娠中のHTP喫煙者の子孫で15.2%(PR = 1.98, 95% CI 1.28-3.05)と増加した。
■ この関連は妊娠第1期に最も顕著であり、妊娠前と産後にで減弱した。

■ 例えば、妊娠中の母親の1日のHTP使用量が1単位増加すると、アレルギー発症が5%増加するなどの用量反応相関が観察された。
■ 妊娠中の喫煙者を除外したサブグループ解析や、International Study of Asthma and Allergies in Childhoodの質問票を用いた感度解析でも、同様のパターンが示されました。

結論

■ 妊娠中の母親のHTP喫煙は、子孫のアレルギーと関連している。

 

 

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