抗IL13抗体である新規薬レブリキズマブは、アトピー性皮膚炎に有効か?(ADhere試験)

生物学的製剤や低分子薬が、アトピー性皮膚炎の治療に応用されるようになってきている

■ 2018年にデュピルマブ(商品名デュピクセント)が上梓されてから、生物学的製剤が増えてきています。

■ 最近、16歳以上の中等症以上のアトピー性皮膚炎の治療において、抗IL-13抗体レブリキズマブ(低~中力価のステロイド外用薬を併用)の有効性と安全性を評価した第3フェーズ試験、ADhere試験の結果が報告されました。

 

Simpson EL, Gooderham M, Wollenberg A, Weidinger S, Armstrong A, Soung J, et al. Efficacy and Safety of Lebrikizumab in Combination With Topical Corticosteroids in Adolescents and Adults With Moderate-to-Severe Atopic Dermatitis: A Randomized Clinical Trial (ADhere). JAMA Dermatology 2023; 159:182-91.

中等症以上のアトピー性皮膚炎患者211名を、皮下レブリキズマブ群(ベースラインと2週目に500mg、その後2週ごとに250mg)と、プラセボ群(それぞれステロイド外用薬併用)にランダム化し、16週間観察した。

重要性

■ インターロイキン(IL)-13を標的とする高親和性モノクローナル抗体であるLebrikizumab(LEB)は、中等症から重症のアトピー性皮膚炎(AD)患者において、16週間の単剤療法で有効性と安全性を示した第2b相試験と、52週間の2つの第3相試験で、その有効性を確認した。

目的

■ 中等症から重症のAD患者において、LEBと低・中力価のステロイド外用薬(TCS)を併用した場合の有効性と安全性を評価する。

デザイン、セッティング、参加者

■ ADhere試験は、2020年2月3日から2021年9月16日まで実施された16週間の無作為化二重盲検プラセボ(PBO)対照の多施設共同第3相臨床試験である。
■ 本試験は、ドイツ、ポーランド、カナダ、米国の54の外来施設で実施され、思春期(12歳以上18歳未満、体重40kg以上)や成人の中等症から重症のAD患者を対象とした。
■ 配分比は2:1(LEB:PBO)だった。

介入方法

■ 全体として、211名の患者が、皮下LEB(ベースラインと2週目に500mgのローディング用量、その後2週ごとに250mgのQ2W)またはPBO Q2WとTCSとの併用16週間に、ランダムに割り付けられた。

主要評価項目と測定

■ 16週目の有効性解析では、ベースラインから2ポイント以上改善したIGA [0,1] (Investigator's Global Assessment score) 0または1、やEASI-75 (Eczema Area and Severity Index) 75%改善した患者の割合が示された。
■ 主な副次的評価項目は、そう痒、そう痒による睡眠への影響、QOLの評価などだった。
■ 安全性評価では、有害事象(AE)のモニタリングが行われた。

結果

■ 患者の平均(SD)年齢は37.2(19.3)歳、103(48.8%)人が女性、31(14.7%)人がアジア人、28(13.3%)人が黒人/アフリカ系アメリカ人であった。
■ 16週目にIGA(0,1)を達成したのは、LEB+TCS群の145名(41.2%)とPBO+TCS群の66名(22.1%)であり(P = .01)、EASI-75達成患者の率は、69.5%と42.2%(P < .001)だった。

■ LEB+TCS群は、すべての主要な副次評価項目で統計的に有意な改善を示した。
■ 治療上問題となる有害事象(TEAE)のほとんどは重篤ではなく、重症度は軽症もしくは中等症であり、試験中止に至ることはなかった。
■ LEB+TCS群で頻繁に報告された有害事象は、結膜炎(7 [4.8%] )、頭痛(7 [4.8%] )、高血圧(4 [2.8%] )、注射部位反応(4 [2.8%] )、ヘルペス感染(5 [3.4%] )だったが、PBO+TCS群では患者報告の頻度は 1.5% またはそれ以下だった。
■ LEB+TCS(n=2、1.4%)とPBO+TCS(n=1、1.5%)では、患者報告による重篤なAEの頻度が同程度だった。

結論と関連性

■ この無作為化第3相臨床試験において、LEB+TCSは、中等症から重症のADの青年や成人において、TCS単独と比較して転帰の改善と関連し、安全性はこれまでに報告されたAD試験と一致していた。

試験登録 ClinicalTrials.gov Identifier: NCT04250337

 

 

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