生後1歳半までの入浴や石鹸は、アトピー性皮膚炎やアレルギー疾患の発症を減らす?

入浴は、アトピー性皮膚炎に、益にも害にもなりうる。

皮膚に対して益にも害にもなりうる『洗浄』に関しては、アトピー性皮膚炎やアレルギーの発症リスクになる可能性が指摘されています。

■ 一方で、日本での入浴習慣と海外の入浴習慣はことなることが推察されますし、海外の研究結果をそのまま日本に適応することは難しいのではないかなとも思います。

■ そこで最近、日本の出生コホート研究から、従来と逆(入浴と洗浄が、アトピー性皮膚炎の予防に働くかもしれない)という研究結果が報告されましたので共有します。

 

Kato T, Adachi Y, Tsuchida A, Matsumura K, Murakami S, Shimizu M, et al. Association of soap use when bathing 18-month-old infants with the prevalence of allergic diseases at age 3 years: The Japan Environment and Children's Study. Pediatric Allergy and Immunology 2023; 34:e13949.

エコチル研究に参加した乳児のうち、1歳半時の乳児の入浴習慣と、3歳時のアレルギー疾患の有病率について情報を得ることのできた74,349人の児のデータを分析した。

背景

■ アトピーマーチは、生後間もない頃のアトピー性皮膚炎(AD)から、小児期以降に他のアレルギー性疾患へと進行するものと定義されている。
■ そこで、全国規模の出生コホート研究である「日本環境と子ども研究」において、皮膚状態に影響を与えることが知られている乳幼児の入浴習慣とその後のアレルギー性疾患の発症との関連性を調査した。

方法

■ 日本全国15の指定地域センターに居住する妊婦をリクルートした。
■ 1歳半の乳児の入浴習慣と、3歳時のアレルギー疾患の有病率について情報を得た。

結果

■ 74,349人の児のデータを分析した。
■ 1歳半の乳児のほとんどは、ほぼ毎日入浴またはシャワーを使用していた。
■ 入浴時の石鹸使用頻度(毎回、ほとんど、時々、めったに)で4群に分類したところ、3歳以降のADリスクは石鹸使用頻度が少ないほど増加することが示され[ほとんど:調整オッズ比(aOR)1. 18 [95%信頼区間(CI)1.05-1.34];時々:aOR 1.72 [95%CI 1.46-2.03]; めったに:aOR 1.99 [95%CI 1.58-2.50] 、入浴時に毎回石鹸を使用する場合と比較し、石鹸の使用頻度が低下するほど、18カ月齢のADのリスクが上昇することが示された。
■ 食物アレルギーでも同様の結果が得られたが、気管支喘息では得られなかった。

結論

■ 生後18ヶ月の乳児の入浴時に石鹸を頻繁に使用することは、3歳時にアレルギー疾患を発症するリスクの低下と関連していた。
■ アレルギー疾患の発症を予防するための効果的な入浴法を決定するためには、さらに綿密な臨床研究が必要である。

 

 

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