新生児の保湿剤塗布は、入浴直後より10分後のほうが良い?

入浴後の保湿剤塗布は『すぐ?』それとも『すこし時間が経過してから?』

アトピー性皮膚炎の治療に関してよく質問されるテーマに、『入浴後、すぐ保湿剤を塗る』が正しいかどうかというものがあります。

■ 最近、アトピー性皮膚炎ではない新生児に対する検討ですが、沐浴後すぐに保湿剤を塗る群と、沐浴後10分経過してから保湿剤を塗る群で、皮膚の水分量と体温にどのような影響を与えるかを調べた検討が報告されました。

■ すこし意外な結果でした。

 

Gözen D, Akarsu Ö, Dur Ş, Akça B. Timing of Post-bath Skin Moisturizer Application to Newborn Infants: A Randomized Controlled Study. Adv Skin Wound Care 2023; 36:1-8.

新生児80名を、新生児の体にすぐに保湿剤を塗布群(対照群)と、入浴終了後10分後に保湿剤を塗布群(介入群)にランダム化し、皮膚水分量と体温を比較した。

目的

■ 入浴後の保湿剤塗布のタイミングが、新生児の皮膚水分量(skin moisture; SM)と体温(body temperature; BT)に影響を与えるかどうかを検討する。

方法

■ 2017年3月から2018年5月にかけて大学病院でモニターとなった新生児80名を対象に、ランダム化比較試験を実施した。
■ 対照群、介入群ともに、新生児を入浴させ、乾燥させた。
■ ただし、対照群では新生児の体にすぐに保湿剤を塗布したのに対し、介入群では入浴終了後10分後に保湿剤を塗布した。

■ 研究者は、入浴前と入浴直後、入浴後10分、20分、40分、60分の時点で、すべての乳児のBTとSMを評価した。

結果

■ 対照群と介入群は、乳児の特徴は類似していた(P > .05)。
■ 両群とも、入浴後10分間は入浴前と比較してSM値が上昇した(P < .05)。
■ しかし、介入群の全身SM値は、入浴後60分で対照群のそれよりも有意に高かった(P = .027)。■ また、両群の乳児の入浴後の体温には、統計的に有意な変化が見られた(P = .004)。

結論

■ 入浴後10分待ってから保湿剤を塗布すると、新生児のSMとBTに良い影響を与えることが明らかになった。
■ 新生児のSMとBTに対する入浴後の保湿剤塗布タイミングの効果をさらに明らかにするためには、より幅広い年齢層と多様なサンプルを用いた追加研究が必要である。

 

 

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