そばアレルギーは、そば特異的IgE抗体価単独ではなく、総IgE値との比のほうが診断精度が高い?

そばアレルギーの人に、そば特異的IgE抗体価を検査をしても、症状を予測することが難しいという問題。

■ そばアレルギーは、ソバ特異的IgE抗体価(一般的にアレルギーの予測をするために行われる血液検査の値)が、実際の症状を予測しがたいことがわかっています。

■ そこで、その陽性予測を上げるための工夫が行われてきましたが、最近、その精度をあげるための要素が報告されました。

 

Kajita N, Yoshida K, Morikawa E, Hirao K, Yokoyama S, Narita M. Predictor of buckwheat allergy in children based on challenge test results: a retrospective observational study in Japan. Eur Ann Allergy Clin Immunol 2022; 54:183-8.

そば経口負荷試験の結果によって陽性群と陰性群に分類された患者37人(年齢中央値89ヶ月)に対し、そば負荷試験を行い結果を検討した。

背景

画像

■  ソバ(Buckwheat ; BW)は主要な食物アレルゲンであり、日本における食物誘発性アナフィラキシーの主要な原因の1つである。
■ 食物アレルギーの診断には、経口食物チャレンジ(oral food challenge; OFC)が標準的な方法である。
■ BWアレルギーの評価にはBW特異的IgE(BW-sIgE)値が用いられるが、その有用性は限定的である。

目的

■  本研究の目的は、OFCを用いたBWアレルギーの診断に予測値を持つ因子を特定することである。

方法

■  OFCの結果によって陽性群と陰性群に分類された患者37人を評価した。

結果

■ 10人(27.0%)がOFC中に客観的または持続的な中等症の自覚症状を呈した。
■ 陽性群は陰性群に比べてBW-sIgE/total IgE比が有意に高かったが(p=0.001未満)、総 IgE値(p=0.139)やBW-sIgE(p=0.130) には有意差はなかった。
■ Receiver operator characteristic (ROC) 解析は、BW-sIgE/total IgE 比は BW-sIgE (AUC 0.667) よりも曲線下面積 (AUC 0.885)が高かった。

■ 統計的に最適なカットオフ値は、BW-sIgE/総IgE比の0.0058であり、これは臨床的感度および特異度がそれぞれ90.0%および81.5%に相当した。

結論

■  BW-sIgE/総IgE比は、BWs-IgEよりもBW OFC結果の予測因子として有用であると考えられる。

 

 

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