アトピー性皮膚炎に対する『エモリエントプラス』は、ステロイド外用薬の使用量を減らす?

アトピー性皮膚炎に使用する保湿剤は、どのような製品を使うか?というテーマ。

保湿剤はすべて同じではなく、それぞれの性質を考えながら使う必要性がありますが、どのように使い分けるかはこれから検討を要する部分も大きいテーマです。

■ 最近、アトピー性皮膚炎患者の皮膚微生物叢に影響を与えることができる基剤と有効成分・非薬用物質が含まれている保湿剤を「エモリエントプラス」と呼ぶそうです。

■ そのエモリエントプラスに関するランダム化比較試験が公開されていました。

 

Zelenkova H, Kerob D, Salah S, Demessant-Flavigny A-L. Impact of daily use of emollient ‘plus’ on corticosteroid consumption in patients with atopic dermatitis: An open, randomized controlled study. Journal of the European Academy of Dermatology and Venereology 2023「Epub ahead of print].

軽症もしくは中等症のアトピー性皮膚炎患者計119人(平均年齢26.50±17.5歳)に対し、従来保湿剤塗布群と、さらにエモリエントプラスを追加群にランダム化し、28日間の治療の比較を行った。

背景

■ エモリエント剤は、軽症もしくは中等症のアトピー性皮膚炎(AD)に対して、表皮のバリア機能を改善し、抗刺激性、抗掻痒性の効果を発揮する基本治療薬である。
■ そしてエモリエント剤『プラス』は、アトピー性湿疹患者の皮膚マイクロバイオームに影響を与える可能性がある。

目的

■ エモリエント 『プラス』を使用することによるステロイド外用薬の使用量削減の効果を評価する。

方法

■ オープン、単施設、ランダム化比較試験において、軽症から中等症のAD(Severity scoring of AD [SCORAD] score 20-30)患者を、エモリエント「プラス」を1日2回28日間塗布する群と、通常の従来エモリエントを継続する群(コントロール群)に1対1にランダム化した。
■ さらに、各患者は、皮膚科医の処方に従って必要なときに使用するステロイド外用薬を処方された。
■ 評価項目は、SCORAD、PO-SCORAD、局所SCORAD、QOLアンケート、忍容性などだった。

結果

■ PP集団には計119人が含まれ、平均年齢は26.50±17.5歳(最小-最大3-71歳)だった。
■ ベースラインから28日目までに、ステロイド外用薬の平均使用量はエモリエント「プラス」群群は対照群より少なく(6.03g 対 9.16g;p = 0.041)、ステロイド外用薬の使用日数も少なく(37.5% 対 46.9%;p = 0.0256)1 日の使用回数も少なかった(1 日あたり 0.55回 対 0.71回;p = 0.0203 )。

■ SCORAD、PO-SCORAD、局所SCORAD、皮膚感覚スコア、AD負荷スケール、患者利益指数>1、被験者と治験責任医師の有効性と忍容性のアンケート評価において、両群で同様の改善が観察された。

結論

■ ベースラインから28日目まで、エモリエントプラス群は対照群と比較して、塗布量、1日あたりの塗布回数、使用日数において有意なステロイド外用薬の節約効果が認められ、一方で、すべての臨床評価や忍容性において両群間に有意差はなく、有効性が維持されていた。

 

 

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