手湿疹に対するデルゴシチニブ軟膏の効果を、どのように評価する?

手指衛生がひろがるなか、手湿疹は増えている。

■ 手指衛生は、感染症の予防にとても重要な手法です。

■ 一方で、手指衛生は手湿疹には悪い影響をあたえることは多くのひとが認めるところでしょう。実際、手指衛生をよくおこなう医療者は、手湿疹をおこしやすくなることが報告されています。

■ デルゴシチニブは、アトピー性皮膚炎に使用できるようになったコレクチム軟膏の薬効成分であり、手湿疹に有効とする報告があり、その評価として日誌が有用かもというランダム化比較試験がありましたので共有します。

 

Bauer A, Thyssen JP, Buhl T et al. Treatment with delgocitinib cream improves itch, pain and other signs and symptoms of chronic hand eczema: Results from the Hand Eczema Symptom Diary in a phase IIb randomized clinical trial. Contact Dermatitis 2023.

軽症から重症の慢性手湿疹のある成人258人を、デルゴシチニブクリーム1、3、8、20mg/g群、基剤群に1日2回塗布にランダム化し、16週間の効果を比較した。

目的

■ 手湿疹症状日記(Hand Eczema Symptom Diary; HESD)を用いて、CHE患者が報告するそう痒、痛みおよび9つの主要な徴候および症状に対するデルゴシチニブクリームの効果を評価する。

方法

■ 二重盲検第IIb相用量設定試験(NCT03683719)において、軽症から重症のCHEを有する成人258人が、デルゴシチニブクリーム1、3、8、20mg/g群、そして基剤群に1日2回16週間塗布にランダム化された。

■ 患者は毎日、HESDを用いてCHEの11の徴候と症状を11段階の数値評価スケールで評価した。
■ これは探索的エンドポイントだった。

結果

■ デルゴシチニブクリーム20mg/g群は、そう痒と痛みの早期かつ持続的に軽減し、ベースラインから16週目までの4ポイント以上の臨床的意義のある改善を、それぞれ48.4%と63.6%の患者に認めた(基剤群では17.9%と5.9%)。
■ また、評価されたすべてのCHE徴候および症状において、基剤群と比較して改善がみられた(20mg/g群、p < 0.05)。

結論

■ デルゴシチニブクリームは、CHE患者のそう痒、痛み、その他の徴候や症状を軽減した。
■ このデータは、臨床医が報告したアウトカムと相関があり、HESDがCHE管理のための有用な評価ツールとなる可能性を示している。

 

 

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