子どものときのペットの飼育と喘息の発症は、どのように関連しているか？

ペット飼育とアレルギーに関しては、相反する研究結果があり、シンプルな答えが難しい。

■ アレルギーのある患者さんに『ペットを飼ってもよいかどうか』を聞かれることは少なからずあります。

■ しかし、その答えに確定的にお答えすることは簡単ではありません。

■ 最近、さまざまな欧州のコホート研究、Avon Longitudinal Study of Parents and Children、Danish National Birth Cohort、Norwegian Mother, Father and Child Cohort Studyなどをまとめ、メタアナリシスを実施した研究結果が報告されました。

Pinot de Moira A, Strandberg-Larsen K, Bishop T, Pedersen M, Avraam D, Cadman T, et al. Associations of early-life pet ownership with asthma and allergic sensitization: A meta-analysis of more than 77,000 children from the EU Child Cohort Network. J Allergy Clin Immunol 2022; 150:82-92.

欧州の9つの出生コホートの5歳から11歳77,434組のデータから、猫や犬の飼育と喘息との関連性を検討した。

背景

■ 幼少期の猫や犬の飼育と小児喘息との関連を検討した研究は、一貫性のない結果となっている。
■ これらの矛盾は、ペットの種類、時期、曝露の程度など、いくつかの要因によって説明されている。

目的

■ 本研究の目的は、学童期に猫や犬を飼育したことと喘息との関連性を、種類（猫か犬か）、時期（未経験、出生前、幼児期）、飼育の程度（ペットの飼育数）、アレルギー感作の役割を含めて検討することである。

方法

■ 欧州連合児童コホートネットワークの9つの出生コホートから、子どもが5歳から11歳時の77,434組のデータを使用した。

結果

■ 出生早期からの猫と犬の飼育率はそれぞれ12％から45％、7％から47％で、喘息の有病率は2％から20％だった。

■ 猫または犬の飼育と喘息には、全体的に関連はなかった（それぞれオッズ比［OR］＝0.97［95％CI＝0.87-1.09］、0.92［95％CI＝0.85-1.01］）。
■ 飼育の時期や程度は、その関連性に強い影響を与えなかった。
■ 猫および犬の飼育は、猫および犬のアレルギー感作に関連しなかった（それぞれOR = 0.92 [95% CI = 0.75-1.13] および 0.93 [95% CI = 0.57-1.54]）。
■ しかし、猫および犬へのアレルギー感作は、学童期の喘息と強く関連していた（それぞれOR = 6.69 [95% CI = 4.91-9.10] および 5.98 [95% CI = 3.14-11.36]）。

■ 飼育と感作には相互作用があり、飼育はペットの感作のリスクを悪化させるものの、感作がない場合は喘息からある程度保護される可能性があることが示唆された。

結論

■ この結果は、出生早期から猫や犬を飼育すること自体が学童期の喘息のリスクを高めることを示すものではない。
■ しかし、猫や犬を飼育することが猫や犬アレルギー感作に関連するリスクを悪化させる可能性があることが示唆された。
■ また、猫や犬アレルギー感作が学童期の喘息と強く関連していることが分かり、所有と感作には相互作用があることが示唆された。
■ これらの結果は、猫や犬を飼うことが小児喘息のリスクにどのような影響を与えるかを考える上で、重要な示唆を与えるものである。

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