牛乳アレルギーのある乳児に対し、加水分解乳(低アレルゲンミルク)を早期に導入する方法が試みられている
■ 低年齢で発症した牛乳アレルギーは、自然寛解は期待できるものの、年齢が高くなるまで持ち越した場合は治療が容易でないケースが少なからずあるため、どのように初期対応するかが考えられています。
■ そのようななか、最近Allergy誌に加水分解乳とプロバイオティクス(乳酸菌製剤)が、生後6ヶ月の乳アレルギーの寛解を促進するというランダム化比較試験が報告されました。
Nocerino R, Coppola S, Carucci L, de Giovanni di Santa Severina AF, Oglio F, de Michele R, et al. The Step-down approach in children with cow's milk allergy: Results of a randomized controlled trial. Allergy; n/a.
生後6ヶ月未満の乳アレルギーの児60人(ランダム化されたのは59人)に対し、アミノ酸乳群と、高度加水分解乳+プロバイオティクス(Lacticaseibacillus rhamnosus GG)群にランダム化して12ヶ月後の寛解率を比較した。
背景
■ Step-Down Approach for Cow's Milk Allergy(SDACMA)試験では、CMA児がアミノ酸乳(amino acid-based formula; AAF)で食事療法を開始し、その後、プロバイオティクスLacticaseibacillus rhamnosus GGを含むEHCF(EHCF + LGG)に切り替える際の耐容性と免疫耐性獲得率について検証した。
方法
■ AAFを4週間以上摂取したIgE依存性CMA児を対象としたランダム化比較試験。
■ EHCF + LGGの耐性は、二重盲検プラセボ対照食物負荷試験(double-blind placebo-controlled food challenge; DBPCFC)の結果で評価された。
■ EHCF + LGGに耐性のある被験者は、AAFを継続するか、EHCF + LGGに切り替えるか、ランダムに割り付けられました。
■ 牛乳タンパク質に対する免疫寛容の獲得は、治療開始12ヶ月後にDBPCFCで評価された。
■ また、アレルギースクリーニング検査と体の成長もモニタリングされた。
結果
■ IgE依存性CMAの小児60人が登録された。
■ AAFで治療した小児のうち、EHCF + LGGの初回曝露に寛容だった率は0.98(正確には95%CI 0.91-0.99)だった。
■ 12ヵ月摂取後の牛乳タンパク質に対する免疫寛容獲得率は、EHCF + LGG群(0.48; 95% exact CI 0.29-0.67; n/N = 14/29)がAAF群(0.03; 95% exact CI 0.001-0.17; n/N = 1/30) よりも高かった。
■ EHCF+LGGとAAFの比較では、NNT2(2-4、Bender法)に相当する0.45(95%CI 0.23-0.63、Newcombe法10)相当の耐性率の絶対利益増加(absolute benefit increase; ABI)がみられた。
■ 2つの研究グループにおいて、正常な体の成長パターンが観察された。
結論
■ IgE依存性CMA児において、AAFからEHCF+LGGへのステップダウンは良好な耐性を誘導し、免疫寛容の獲得を促進すると考えられた。
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