保湿剤を定期的に使用することは、アトピー性皮膚炎の『基本治療』に位置づけられています。
■ 保湿剤は、アトピー性皮膚炎の治療における基本治療です。
■ そして2017年に、コクランシステマティックレビューでも、『保湿剤が悪化までの期間を有意に伸ばす』とまとめられています。
■ しかし、すでにその報告から6年が経過しており、どのような動きがあるのかを確認したところ、2021年に別のジャーナルにメタアナリシスが報告されていました。
Kritsanaviparkporn C, Sangaphunchai P, Treesirichod A. Efficacy of moisturizers in paediatric atopic dermatitis: A systematic review and meta-analysis of randomised controlled trials. Indian J Dermatol Venereol Leprol. 2021 Jan-Feb;88(1):22-31.
15歳以下のアトピー性皮膚炎患者を対象に、保湿剤による外用治療と保湿剤なしの治療を比較したランダム化比較試験について、システマティックレビューとメタアナリシスを実施した。
背景
■ アトピー性皮膚炎には保湿剤の外用が推奨されている。
目的
■ 本研究の目的は、若年患者における保湿剤の有効性に関する知識のギャップを調査することであった。
方法
■ 15歳以下のアトピー性皮膚炎患者を対象に、保湿剤による外用治療と保湿剤なしの治療を比較したランダム化比較試験について、システマティックレビューとメタアナリシスを実施した。
■ エビデンスの確実性は、GRADE(Grading of Recommendations, Assessment, Development and Evaluation)フレームワークを用いて評価した。
結果
■ 6つの試験が含まれた(介入n=436; 対照n=312)。
■ 保湿剤の使用により、炎症再燃までの期間が13.52日延長した(95%信頼区間0.05-26.99、I2=88%)。
■ 再発リスクは、2ヶ月目、3ヶ月目(プールリスク比0.65 [95%信頼区間0.47-0.91]; I2= 35%、プールリスク比 0.63 [95%信頼区間0.47-0.83]; I2=33%)に比べ、潜伏期間1ヶ月目に大きな低下が観察された(プールリスク比 0.47; 95%信頼区間 0.31-0.72; I2=28%)。
■ 保湿剤で治療した患者は、3-6ヶ月の寛解を経験する確率が2.68倍高かった(95%信頼区間 1.18-6.09, I2 56% )。
■ 保湿剤は、疾患の重症度やQOLをわずかに改善した。
限界
■ より強固で標準化されたデザインによる無作為化比較試験を実施することが切実に必要とされる。
結論
■ 保湿剤は、若年アトピー性皮膚炎患者にとって有益である。
■ しかし、その有効性をより適切に評価するためには、さらなる研究が必要である。
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