年齢が高くなってから新規に発症する喘息は、どのような理由で発症するか?
■気管支喘息は、低年齢で発症するケースが多く、受動喫煙、真菌・化学物質・大気汚染物質の吸入・感染症などが、発症リスクに関係するというエビデンスがあります。
■ そして最近、欧州免疫アレルギー学会誌Allergyに、『慢性鼻副鼻腔炎が成人喘息の発症リスクになる』ことが報告されました。
Schwartz BS, Pollak JS, Bandeen-Roche K, Hirsch AG, Lehmann AE, Kern RC, et al. Sinus inflammation and chronic rhinosinusitis are associated with a diagnosis of new onset asthma in the following year. Allergy; n/a.
2008年から2019年までの米国の電子カルテデータをもちいて、ある年に喘息でなひとが、翌年に喘息の新規に発症する因子を検討した。
背景
■ 慢性鼻副鼻腔炎(CRS)と喘息はしばしば併発する。
■ しかし、CRSと喘息の併発の有無について、大規模なサンプルを用いて正式に検討した研究はない。
方法
■ 特定されたCRS(副鼻腔CTスキャンにおけるテキストを利用するか、2回のことなる日のCRSの診断、もしきはそれら2つの方法で特定)の有病者が、翌年の成人喘息の新規発症と関連するかどうかを評価した。
■ 2008年から2019年までのGeisingerの電子カルテデータを使用した。
■ 各年について、その年の終わりまでに喘息の証拠がある人を削除し、その後、翌年に喘息の新規診断がある人を特定した。
■ 補完対数対数回帰を用いて交絡変数(社会人口統計学的、医療制度との接触、併存疾患など)を調整し、ハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)を算出した。
結果
■ 35,441人が新規発症喘息と診断され、喘息を発症しなかった890,956人と比較された。
■ 新規発症の喘息患者は、女性(69.6%)および若年(平均[SD]年齢45.9[17.0]歳)である傾向があった。
■ CRSは、いずれも新規発症喘息と関連しており(HR 95%CI)副鼻腔CTスキャンに基づくCRSでは2.21(1.93、2.54)、2つの診断ではそれぞれ1.48(1.38、1.59)だった。
■ 副鼻腔手術歴のある人では、新規発症の喘息はまれだった。
結論
■ 2つの補完的なアプローチで特定された有病率の高いCRSは、翌年の新規発症喘息の診断と関連していた。
■ この知見は、喘息の予防に臨床的な意味を持つかもしれない。
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