セラミドを含む保湿剤は、他の保湿剤より有効か?:システマティックレビュー&メタアナリシス

保湿剤にはエモリエントとモイスチャライザーがある。

 『保湿剤』とひとことで言っても、エモリエントとモイスチャライザーがあります。

■ では、モイスチャライザーに利用されることの多いセラミド含有の保湿剤と、他の保湿剤の有効性に差はどれくらいあるのでしょうか?
■ 最近のメタアナリシスを共有します。

 

Nugroho WT, et al. The Efficacy of Moisturisers Containing Ceramide Compared with Other Moisturisers in the Management of Atopic Dermatitis: A Systematic Literature Review and Meta-Analysis. Indian J Dermatol. 2023 Jan-Feb;68(1):53-58.

背景

■ アトピー性皮膚炎(AD)は、アトピー性湿疹としても知られる慢性炎症性皮膚疾患である。
■ ADの主なメカニズムは皮膚-表皮バリアの機能障害である。
■ 角層(SC)の構造的完全性の破壊の原因の一つは、SCの重要な脂質成分であるセラミドの産生低下である。
■ 新世代の保湿剤には、この脂質不足を補うためにセラミドが配合されている。

目的・方法

■ 本研究は、セラミドを含む保湿剤と他の保湿剤のAD管理における有効性を比較することを目的とした。
■ PubMed、Cochrane Library、ScienceDirect、Clinicaltrials.gov、Google Scholarで、2012年1月から2022年7月までに発表された研究を系統的に検索した。
■ 本研究では介入とアウトカムを比較した。
■ 統計解析はReviewManager 5.4を用いて行った。

結果

■ 5件の論文が適格性および組み入れ基準を満たした。■ 3論文は経表水分蒸散量(TEWL)のアウトカムに関するメタアナリシスであり、2論文はSCORing Atopic dermatitis(SCORAD)の転帰に関するメタアナリシスだった。
■ TEWLの結果のメタアナリシスでは、セラミド含有保湿剤で治療した被験者ではTEWL値に有意差はなく(平均差:-3.56、95%信頼区間[-8.63~1.52]、P = 0.17)、他の治療と比較して異質性が高かった(I2 = 92%)。
■ SCORADの変化は、セラミドを含むモイスチャライザーで有意に高かった(平均差:-0.98、95%CI[-1.63~-0.33]、P = 0.003)が、異質性は低かった(I2 = 0%)。

結論

■ セラミドを含む保湿剤はSCORADとTEWLを改善するが、セラミドを含む保湿剤のSCORADの変化のみが他の保湿剤より優れている。

 

※読んだ後に思いましたが、やや不正確なメタアナリシスな印象があります。

論文の背景とその解説・管理人の感想は、noteメンバーシップでまとめました。

 

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