プロアクティブ療法は、2000年頃から広く普及したアトピー誠意皮膚炎の治療方法。
■ アトピー性皮膚炎の治療方法として、症状が出現したときに抗炎症薬(ステロイド外用薬など)を使用するリアクティブ治療と、症状の出る前から間欠的に抗炎症薬を使用するプロアクティブ治療があります。
■ 一方、ステロイド外用薬をランクダウンしながら使用するという『ランクダウン療法』を使用する医師もいらっしゃいます。
■ その『プロアクティブ療法』と『ランクダウン療法』、どちらのほうがより有効なのでしょうか?
■ 最近、日本の研究グループから、その研究結果が報告されました。
Kamiya K, Saeki H, Tokura Y, Yoshihara S, Sugai J, Ohtsuki M. Proactive versus Rank-Down Topical Corticosteroid Therapy for Maintenance of Remission in Pediatric Atopic Dermatitis: A Randomized, Open-Label, Active-Controlled, Parallel-Group Study (Anticipate Study). J Clin Med. 2022 Oct 31;11(21):6477
6歳から15歳で、IGAスコア3以上のアトピー性皮膚炎の小児を、ランクダウン療法とプロアクティブ療法にランダム化し、有効性と副腎機能を調査した。
背景
■ ステロイド外用薬は、アトピー性皮膚炎(AD)の第一選択薬として使用されている。
■ 先行研究で、ステロイド外用薬による寛解の維持に関して、プロアクティブ療法とランクダウン療法を比較したものは存在しない。
■ そこで、日本人の中等症から重症のADの小児を対象に、両療法の有効性と安全性を比較した研究を実施した。
方法
■ Very strongランクのステロイド外用薬で寛解を得た患者を、同じ薬剤を断続的に使用する4週間の維持療法(プロアクティブ療法)と、Strongクランスのステロイド外用薬を1週間毎日使用した後、Mildランクのステロイド外用薬を3週間毎日使用する(ランクダウン療法)の2群にランダム化し、49人の患者を対象とした(プロアクティブ療法 24人;ランクダウン療法 25人)。
結果
■ 維持療法中の再発率は、プロアクティブ療法群で8.33%、ランクダウン療法群で20.0%であった(p = 0.0859)。
■ ランクダウン療法群のそう痒スコアの平均値(±標準偏差)は、2.5±1.9から3.6±2.6に有意に増加した(p = 0.0438)。
■ 有害事象は、プロアクティブ療法群で2例、ランクダウン療法群で3例が確認された。
■ プロアクティブ療法はランクダウン療法と同様に安全であり、寛解期の小児ADのそう痒に対してはより有効であると考えられる。
※ 論文の背景とその解説・管理人の感想は、noteメンバーシップでまとめました。
基本的に医療者向けで、申し訳ありませんが、質問には基本的にお答えしておりません。
所属するいかなる団体の立場も代表するものではありませんし、すべての方に向いているという情報でもありません。予めご了承いただきたく存じます。
しかし、文章やアイデアを盗用・剽窃・不適切な引用したり、許可なくメディア(動画を含む)に寄稿することはご遠慮ください。
クローズドな場での勉強会などに使用していただくことは構いません。