呼気一酸化窒素に基づく喘息コントロールは喘息発作を減らすか？システマティックレビュー&メタアナリシス

呼気一酸化窒素は、アレルギー性の気道炎症をみるための検査のひとつ。

■ 呼気一酸化窒素は、さまざまな喘息の検査のうちのひとつです。

■ 気道の炎症をみるための侵襲の少ない検査として普及しています。

■ しかし、呼気一酸化窒が気管支喘息のコントロールを改善させるかに関しては、さまざまな結果があります。
■ そこで最近、このテーマでメタアナリシスがありましたので共有します。

Korevaar DA, Damen JA, Heus P, Moen MJ, Spijker R, van Veen IH, et al. Effectiveness of FeNO-guided treatment in adult asthma patients: A systematic review and meta-analysis. Clinical & Experimental Allergy 2023; 53:798-808.

成人喘息患者における呼気一酸化窒素（FeNO）を元にした治療と通常の（症状を元にした）治療の有効性を比較したランダム化比較試験（RCT）を対象にして、喘息治療の有効性を検討した。

目的

■ 喘息のコントロールは、症状と肺機能の評価に基づいてモニターされることが一般的である。
■ しかし、最適な治療は気道炎症のタイプと程度にも影響される。
■ 呼気一酸化窒素（FeNO）は、2型気道炎症の非侵襲的バイオマーカーである。
■ 喘息治療の指針としてのFeNOの有効性については、まだ議論の余地がある。
■ そこで、FeNOを用いた喘息治療の有効性の要約推定値を得るため、…喘息治療の有効性の要約推定値を得るため、系統的レビューとメタアナリシスを行った。

研究デザイン

■ 2016年のコクランシステマティックレビューを更新した。
■ Cochrane Risk of Biasツールを使用して、バイアスのリスクを評価した。
■ 逆変量ランダム効果メタ解析を実施した。
■ エビデンスの確実性はGRADEを用いて評価した。
■ 喘息の重症度、喘息コントロール、アレルギー/アトピー、妊娠、肥満に基づき、サブグループ解析を行った。

データ情報源

■ 2023年5月9日にCochrane Airways Group Trials Registerを検索した。

適格基準

■ 成人喘息患者におけるFeNOガイド下治療と通常の（症状ガイド下）治療の有効性を比較したランダム化比較試験（RCT）を対象とした。

結果

■ RCT 12件（2,116例）を対象とし、すべてのRCTは少なくとも1つの領域でバイアスのリスクが高いか不明確であった。
■ RCT 5件はFeNOメーカーからのサポートを受けていたことを報告していた。
■ FeNOに基づく治療は、1回以上の増悪を経験する患者をおそらく減少させる（OR = 0.61; 95%CI 0.44 から 0.83; RCT 6件; GRADE中程度の確実性）、増悪率も減少する可能性がある（RR = 0.67; 95%CI 0.54 から 0.82; RCT 6件; 中程度の確実性）。
■ 喘息コントロールアンケートスコアは、わずかに改善する可能性がある（MD = −0.10; 95%CI −0.18 から −0.02、RCT 6件; 低い確実性）。
■ しかし、この変化は臨床的に重要とは言えなかった。
■ 重症発作、QOL、FEV1、治療薬剤量、FeNO値に対する効果は確認できなかった。
■ サブグループ解析の結果から、有効性が患者のサブグループ間で異なるという証拠は認めなかった。

結論

■ FeNOガイド下の喘息治療は、増悪を減少させる可能性があるが、他の喘息アウトカムに対して臨床的に重要な影響を及ぼすとは考えられない。

※ 論文の背景とその解説・管理人の感想は、noteメンバーシップでまとめました。