デュピルマブやバリシチニブで効果不十分な、成人アトピー性皮膚炎患者に対するウパダシチニブの有効性は?

小児皮膚疾患治療の進化:内服JAK阻害薬とデュピルマブの比較と適切な薬剤選択の重要性

 小児においても、内服JAK阻害薬、生物学的製剤が一部の年齢で使用できるようになり、治療の選択肢が増えてきました。

■ どの薬剤が、その患者さんに適切なのかを考えながら処方を組み立てる必要性があります。

■ デュピルマブとJAK阻害薬(バリシチニブ[オルミエント]、ウパダシチニブ[リンヴォック])の有効性に関し、議論になることがありますが、先行したHeads Up試験で、JAK阻害薬ウパダシチニブの優位性が示されています。

■ そして最近、16週間のリアルワールドの研究で、同様のテーマの検討が報告されていました。

 

※noteでも述べていますが、ウパダシチニブが強力だから優先、という意味ではありません。今後、それぞれの新規薬の適切な使い方を習熟したいと思っているその勉強の一環で読んだ報告です。

Boesjes CM, Van der Gang LF, Zuithoff NPA, Bakker DS, Spekhorst LS, Haeck I, et al. Effectiveness of Upadacitinib in Patients with Atopic Dermatitis including those with Inadequate Response to Dupilumab and/or Baricitinib: Results from the BioDay Registry. Acta Derm Venereol 2023; 103:adv00872.

オランダのBioDay登録から選ばれた、デュピルマブまたはバリシチニブで効果不十分だった中等度から重度のアトピー性皮膚炎成人患者47例に対し、ウパダシチニブを16週間投与した。

■ 選択的ヤヌスキナーゼ1阻害薬であるウパダシチニブが中等度から重度のアトピー性皮膚炎治療に有効であることは臨床試験で示されているが、日常診療における研究は限られている。
■ 本多施設前向き研究では、デュピルマブまたはバリシチニブで効果不十分だった成人患者を含む、中等度から重度のアトピー性皮膚炎に対する16週間のウパダシチニブ治療の日常診療での有効性を評価した。
■ オランダのBioDay登録から選ばれた合計47例の患者がウパダシチニブ治療を受け、ベースライン時、治療開始後4週、8週、16週に評価された。
■ 有効性は臨床医および患者報告に基づくアウトカムで評価され、安全性は有害事象と臨床検査値で評価された。
■ 全体として、Eczema Area and Severity Indexが7以下、Numerical Rating Scale - pruritusが4以下を達成する確率は、それぞれ、73.0%(信頼区間95%: 53.7~86.3)と69.4%(信頼区間95%: 48.7~84.4)だった。

■ ウパダシチニブの有効性は、デュピルマブまたはバリシチニブで十分な効果を得られなかった患者、これらの治療経験がない患者、あるいは有害事象で治療を中止した患者においても同等だった。
■ 14例(29.8%)の患者が効果不十分、有害事象、または両方の理由でウパダシチニブを中止した(それぞれ8.5%、14.9%、6.4%)。
■ 最も多く報告された有害事象はざ瘡様発疹(10例、21.3%)、単純疱疹(6例、12.8%)、悪心・気道感染(それぞれ4例、8.5%)だった。
■ これらの結果から、ウパダシチニブはデュピルマブまたはバリシチニブで効果不十分だった患者を含む中等度から重度のアトピー性皮膚炎患者に対して有効な治療法であると結論づけられる。
■ 結論として、ウパダシチニブは青年期における中等度から重度のアトピー性皮膚炎に対して有効であり、安全性プロファイルは成人での使用と一致しているため、この集団における治療オプションとして検討されるべきである。

 

 

※ 論文の背景とその解説・管理人の感想は、noteメンバーシップでまとめました。

 

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