ウパダシチニブ治療を受けたアトピー性皮膚炎患者の帯状疱疹発症リスクを予想する因子はあるか?

JAK阻害薬使用中の帯状疱疹リスクは?

■ 内服JAK阻害薬を使用中は、感染に対する配慮が必要で、帯状疱疹がまれに起こることが知られています。
■ 帯状疱疹は、水痘・帯状疱疹ウイルス(いわゆる、水ぼうそうのウイルス)の感染によって引き起こされる病気で、身体の左右どちらか一方に、ぴりぴりとした痛みと、水疱が帯状にあらわれるのでその名がついています。

■ しかし、帯状疱疹は生活の質を下げる副作用のうちの一つであるため、そのリスク因子を把握しておく必要性があります。
■ このテーマの報告が最近ありましたので共有いたします。

 

Hagino T, Saeki H, Fujimoto E, Kanda N. Background factors predicting the occurrence of herpes zoster in atopic dermatitis patients treated with upadacitinib. The Journal of Dermatology 2023; 50:1301-12.

中等症から重症のアトピー性皮膚炎患者112人(12歳以上)に関し、ウパダシチニブ15mg/日を投与された78人と、ウパダシチニブ30mg/日を投与された34人を検討した。

背景

■ アトピー性皮膚炎(AD)の治療薬として承認されている経口ヤヌスキナーゼ1阻害薬ウパダシチニブは、帯状疱疹(HZ)やざ瘡などの有害事象を引き起こす可能性がある。

目的

■ 本研究の目的は、AD患者におけるウパダシチニブ治療中におけるHZおよび、痤瘡の発生を予測する背景因子を同定することだった。

方法

■ 2021年8月から2022年12月にかけて、中等症から重症のAD患者(12歳以上)112人を対象に、ウパダシチニブ15mg/日を投与した患者78人、ウパダシチニブ30mg/日を投与した患者34人に、ステロイド外用薬またはデルゴシチニブを頭頸部に限定して3~9カ月間投与した。

結果

■ ウパダシチニブ治療中にHZを発症したAD患者は、HZの既往歴、気管支喘息の発症率が、ウパダシチニブ15mg群、30mg群、および全体の患者群に比べて高かった。
■ HZの既往があるAD患者は、ウパダシチニブ15mg群および全患者群において、治療前の乳酸脱水素酵素(LDH)値および頭頸部のEASIスコアが高かったことが示された。
■ ロジスティック回帰分析の結果、ウパダシチニブ15mg群および全患者群において、HZの既往歴はHZの発生と関連していた。
■ ウパダシチニブ30mg群では、痤瘡が発生した患者と発生しなかった患者に、未成年(18歳未満)の割合が高かったが、その他の背景因子では有意差は見られなかった。

結論

■ HZの既往歴は、AD患者におけるウパダシチニブ治療中のHZの発生を予測する可能性があることを示唆している。

 

 

※ 論文の背景とその解説・管理人の感想は、noteメンバーシップでまとめました。

 

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