日本において、ピーナッツを離乳食に早期導入すると、ピーナッツアレルギー予防に働くか?

ピーナッツアレルギー発症予防に対する『早期摂取開始』と、日本のエコチルコホート試験からの新たな研究結果

■ 2015年に『離乳食にピーナッツを早期に導入する』というLEAP研究が発表されて以降、ピーナッツや卵アレルギーの予防に関する研究が進んでいます。

■ 海外では、ピーナッツアレルギーが多い地域で、早期にピーナッツを食べることを推奨するようになりました。

■ しかし、日本ではピーナッツアレルギーの発症頻度が海外ほど高くないため、同じように推奨するかどうかは意見がわかれるところでしょう。

■ 最近、日本で大規模に行われているエコチルコホート試験から、日本におけるピーナッツ早期開始に関する興味深い報告が公開されていました。

Kojima R, Shinohara R, Kushima M, Yui H, Otawa S, Horiuchi S, et al. Infantile peanut introduction and peanut allergy in regions with a low prevalence of peanut allergy: the Japan Environment and Children’s Study (JECS). Journal of Epidemiology 2023; advpub.

日本の大規模コホート試験『エコチル研究』に参加した74,240組の母児データを用いて、乳幼児期にピーナッツを摂取した場合と摂取しなかった場合の子どもを比較し、4歳時のピーナッツアレルギーとの関連をロジスティック回帰モデルを用いて調査した。

背景

■ ピーナッツアレルギー(peanut allergy; PA)の発症率が高い地域では、乳幼児期にピーナッツを食べさせることがPAの予防に役立つというコンセンサスが得られている。
■ しかし、ピーナッツアレルギーの発症率が低い地域、すなわち日本を含む場所では、乳幼児期にピーナッツを導入することがピーナッツアレルギーと関連しているかどうかについての研究はほとんどない。

方法

■ 2011年1月から2014年3月までにリクルートした前向き出生コホート研究、通称「Japan Environment and Children’s Study(日本における環境と子ども研究)」に参加した74,240組の母児データを利用した。
■ このデータを用いて、潜在的な交絡因子を考慮した上で、ロジスティック回帰モデルを用い潜在的交絡因子を調整した上で、乳幼児期にピーナッツを摂取した場合と摂取しなかった場合を比較し、4歳の時点でのピーナッツアレルギー(PA)との関連を調査した。

結果

■ 乳幼児期にピーナッツを導入した割合は4.9%(n=3294)であり、286人(0.4%)の参加者が4歳の時にピーナッツに対するアレルギー症状があった。
■ 全参加者の中で、129名(0.2%)が4歳時にピーナッツに対するアレルギー症状および感作と定義されるPAを発症していた。
■ 乳幼児期にピーナッツを摂取した児は、摂取しなかった児に比較してPAの発症率が低かったものの、統計的に有意な差は見られなかった(調整オッズ比 0.53; 95%信頼区間 0.17-1.68)。
■ ピーナッツによるIgE依存性の症状をアウトカムとして用いた感度分析でも、乳幼児期にピーナッツを導入した場合との関連性について同様の結果が示された。

結論

■ PAの発症率が低い国では、乳幼児期にピーナッツを導入することがPAの予防にどのような影響を及ぼすかについては不明である。

 

 

※ 論文の背景とその解説・管理人の感想は、noteメンバーシップでまとめました。

 

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