内服JAK阻害薬バリシチニブ(商品名オルミエント)は、2歳以上の中等症以上のアトピー性皮膚炎に有効である:BREEZE-AD PEDS試験

アトピー治療の急速な進展。小児もその恩恵が広がりつつあります。

■ アトピー性皮膚炎に対する全身投与する薬剤は急速に進歩し、外用薬と全身治療薬(内服薬・注射薬)の手数が増えました。

■ そのうち外用薬は、生後3ヶ月・6ヶ月から使用できる新規薬が2種類となり、かなり治療が改善されました。
■ まだ数がすくないのが全身治療薬で、2023年9月にデュピルマブが使用できるようになって状況がかわりつつあります。

■ しかし内服JAK阻害薬は、12歳からの使用にとどまっていました。その内服JAK阻害薬が、今後2歳からに広がる可能性があります。

※2024年3月10日現在、バリシチニブはまだ小児適用はありません(今後、拡大される可能性に関してはnoteの本文中に述べました)。

Torrelo A, Rewerska B, Galimberti M, Paller A, Yang C-Y, Prakash A, et al. Efficacy and safety of baricitinib in combination with topical corticosteroids in paediatric patients with moderate-to-severe atopic dermatitis with an inadequate response to topical corticosteroids: results from a phase III, randomized, double-blind, placebo-controlled study (BREEZE-AD PEDS). British Journal of Dermatology 2023; 189:23-32.

2歳から18歳未満の中等症から重症のアトピー性皮膚炎患者483例を対象とし、バリシチニブ1mg、2mg、4mg、プラセボを1日1回16週間ランダムに投与した。

背景

■ 経口選択的ヤヌスキナーゼ(JAK)1/JAK2阻害薬であるバリシチニブは、全身療法が適応となる成人の中等症から重症のアトピー性皮膚炎(Atopic dermatitis; AD)に対して多くの国で承認されている。

目的

■ 中等症から重症のアトピー性皮膚炎を有する小児患者において、バリシチニブの3つの用量と低〜中等度の力価の外用ステロイドとの併用療法の有効性や安全性を評価する。

方法

■ 患者(2〜18歳未満)を1日1回バリシチニブ低用量(1mg相当)、中用量(2mg相当)、高用量(4mg相当)、プラセボにランダム化し(1:1:1:1)、16週間投与した。
■ 主要評価項目は、バリシチニブ1日1回低用量(1mg相当量)、中用量(2mg相当量)、高用量(4mg相当量)、プラセボを16週間投与し、16週目のバリシチニブの有効性評価 (vIGA-AD)が0/1となり、2ポイント以上改善した患者の割合とした。
■ 副次評価項目は、EASI(Eczema Area and Severity Index)がそれぞれ75%以上および90%以上改善した患者の割合(EASI-75とEASI-90)、SCORing Atopic Dermatitisが75%以上改善した患者の割合(SCORAD 75)、EASIスコアのベースラインからの平均変化、10歳以上の患者におけるかゆみ数値評価尺度(NRS)が4点以上改善した患者の割合だった。
■ 主要および副次的有効性解析は、intent-to-treat集団で実施し、多重性を調整した。
■ 安全性解析は、試験治療を1回以上受けたすべての無作為化患者を対象とした。

結果

■ 483例がランダム化された(平均年齢12歳)。
■ バリシチニブ4mg相当量は、16週間のすべてのエンドポイント(vIGA 0/1で2点以上の改善、EASI-75、EASI-90、SCORAD 75、EASIスコアの平均変化、10歳以上の患者のかゆみNRS 4点改善)において、プラセボに対して統計学的に有意な(P < 0.05)改善を達成した。

■ また、バリシチニブ4mgとプラセボとの比較では、入眠能力やステロイド外用剤の使用量の減少においても改善が認められた(P<0.05、非多重性調整)。
■ 有害事象による投与中止はほとんどなかった(プラセボ群1.6%、バリシチニブ群0.6%)。

■ 死亡、静脈血栓塞栓イベント、動脈血栓イベント、主要心血管系有害イベント、悪性腫瘍、消化管穿孔、日和見感染症はみられなかった。

結論

■ この結果から、バリシチニブは、全身療法の適応となる中等症から重症の小児AD患者に対して、良好なベネフィット・リスクプロファイルを有する潜在的な治療選択肢となることが示された。

 

 

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