Hesselmar B, et al., Allergy in children in hand versus machine dishwashing. Pediatrics 2015; 135:e590-7.
衛生仮説の報告。
■ 衛生仮説とは、1989年にストラカンが始めて報告した仮説で、簡単に言うと感染を繰り返した方がアレルギーの発症を防ぐのではないかという考えです。
■ 実際はそんなに簡単なものでもなく、細菌からでてくるエンドトキシンという物質が影響するのではないかなど、機序が解明されつつあります。
伝統的農法をしている環境の方が、新しい農法をしている環境より気管支喘息が少なくなる: 症例対照研究
P: スウェーデン出生の7歳から8歳の児1029名
E:1) 食器は手洗いか食洗器か C: 食器の手洗いもしくは2)3)4)5)の摂取なし O: ISAAC質問用紙による本人のEczema(湿疹=海外ではほぼアトピー性皮膚炎と同義)、喘息、アレルギー性鼻炎 |
結果
■ 手洗いのほうがアレルギー疾患発症リスクがOR 0.57 (95%CI:0.37-0.85)と低くなった。
■ 伝統的なな料理方法(手洗い・発酵食品・農場からの食品摂取)の項目数が多いほどアレルギー疾患の発症率が低くなった(項目ゼロの児を1として、1項目あり;aOR 0.59 [95%CI 0.43-0.82]、2-3項目あり; aOR 0.33 [0.13-0.84])。
行き過ぎた清潔志向もどうかと思われます。
■ 「衛生的に」と食洗機を使うほうがアレルギーが多くなってしまうのは、衛生仮説を支持する結果。
■ 横断研究のアンケート調査であり、エビデンスレベルは低いですが、内容はとても興味深いです。同グループからは、「おしゃぶりを煮沸消毒せずに、親が口できれいにして戻す習慣を持っている方がアレルギーが少ない」という斜め上な報告もしています。
Pacifier Cleaning Practices and Risk of Allergy Development
■ ただし、だから「掃除しなくていい」とか「動物園に行けばいいかも」ではないですからね。それはまた、別の話。