Semancik E, Sayej WN. Oral immunotherapy for peanut allergy induces eosinophilic esophagitis: three pediatric case reports. Pediatr Allergy Immunol 2016 (in press).
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26888330
今回は症例報告です。
食物経口免疫療法を行う側として、自分自身認識しなければならないと思い、皆様とのシェアのためにもUPします。
背景
過去、成人の花粉アレルギーに対する舌下免疫療法、小児の牛乳または鶏卵アレルギーに対する経口免疫療法(OIT)の数ヶ月後に好酸球性食道炎(EoE)を発症した報告がある。今回、ピーナッツOIT開始後、短期間に好酸球性食道炎(EoE)を発症した3例を報告する。
症例1
6歳男児。
主訴は嘔吐。ピーナッツOITを開始2週間経過しており、嘔吐後、受診するまでに1週間ピーナッツは中断されていた。
嘔吐は非胆汁性で粘液や泡を含んだが、血液は混じっていなかった。食事との関連は認めず、食欲は変わらなかった。しかし、同時に発症した咽頭炎に苦しんでいた。患児は、嚥下障害、腹痛、便通の変化を否定した。
末梢血で好酸球数12%、総IgE1974kU/Lだった。重篤な食道炎と著しい基底層増殖が認められ、胃十二指腸内視鏡検査(EGD)で、食道全体が溝と白色の点が認められた。OITを中止しランソプラゾールを処方したところ軽快し、4ヶ月後のEGD所見は正常になっていた。
症例2
11歳男児。
主訴は嘔吐。同様にピーナッツOITを2週間前に開始していた。嘔吐は食事と無関係に起こっており、嘔気を訴えたが腹痛や便通の変化はなかった。やはりランソプラゾールを投与した。患者家族がピーナッツOITの中止を決めるまで、嘔吐は持続した。EGD所見は、溝と白い点を呈した。OITを中止後、軽快した。3ヶ月後のEGDは正常所見だった。
症例3
7歳男児。
主訴は2ヶ月続く嚥下障害。通院11ヶ月前からピーナッツOITを開始し、症状発現の1-2週間前からピーナッツ粉からピーナッツ粒の維持療法に変更になっていた。内視鏡所見は重篤な溝を呈しており、著しい基底層の増殖と食道炎を起こしていた。OIT中止後、3ヶ月で溝は改善傾向となり、組織学的にも好酸球浸潤は軽快傾向となった。しかし、ランソプラゾールで加療4ヶ月後も十分な改善がなかった。同時にアレルギーがあった乳に関して除去したところ、6ヶ月後に軽快した。
コメント
OIT中、早期にEoEを発症しうるという症例集積報告。
本邦からも、急速免疫療法中の食道炎の報告がある(アレルギー 2015;64:57-62.)。
しかし、食道生検はどの施設でも出来るものではない。簡単に確定出来づらい分、慎重に病歴を聴取すべきと思った。