アナフィラキシーを原因とした入院数と死亡数の変化: 横断研究

2017年10月29日

Turner PJ, et al. Increase in anaphylaxis-related hospitalizations but no increase in fatalities: an analysis of United Kingdom national anaphylaxis data, 1992-2012. J Allergy Clin Immunol 2015; 135:956-63.e1.

* 2017/10/29 図を挿入し、フォーマットを修正しました。

 

アナフィラキシーの入院数は増加している。

■ さて、今週の最後は、アナフィラキシー(食物以外も含む)の入院数が近年増加しているとする英国からの報告です。

■ 一般的な救急外来のセッティングでも、アナフィラキシーによる受診は決して少なくないのではないでしょうか。

 

P: 1992-2012年にかけてナショナル・データベースから得た、英国とウェールズにおけるアナフィラキシーに起因した入院例・死亡例 

E: –

C: –

O: アナフィラキシーによる入院数と死亡数は増加しているか

 

 

結果

■ 1998~2012年の研究期間中、全アナフィラキシーによる入院は615%増加し、1年ごとの乗法的増加率は1.073(95%CI、1.071-1.075; P < .001)だった。

年間死亡率は100,000人中0.047人(95%信頼区間[CI];0.042-0.052人)(推定増加率、1.00; 95%CI、0.98-1.01; P > .05)であり、増加していなかった

論文から引用。1992年から2012年の間のアナフィラキシーの全病因。(A)病院入院および(B)死亡数の時間推移。縦軸はSEMを表す。

■ 食物に起因したアナフィラキシーで入院した例は、計14,675例であり、小児と24歳未満の成人で最も高率だった。

論文から引用。食物、医原性、昆虫の刺傷それぞれによるアナフィラキシーに起因する入院(1998-2012; A)および死亡(1992-2012; B)の年齢分布。

■ 食物アレルゲン摂取に起因すると強く疑われた124の死亡例の平均年齢は25歳(95%CI、22-28歳)だった。

124例のうちの95例(77%)で原因食物が同定され、95例中69例(73%)がピーナッツまたはナッツに対するアレルギーであり、16歳未満の小児では、牛乳が39例中8例(21%)を占めた

論文から引用。(A)小児、(B)成人、(C)5歳の致命的な食物誘発性アナフィラキシー症例の原因。

■ 124例のうちの97例(78%)は医師の診断した喘息があり、86例(69%)が致死的なイベント以前に食物アレルギーが判明しており、少なくとも26例(21%)はアナフィラキシーをすでに経験していた。

食物によって誘発されたアナフィラキシーの死亡率は、ピークである10~29歳の年齢層において100,000人・年につき0.011例(95%CI、0.009-0.013例)だった。

■ 医原性関連のアナフィラキシーによる入院は計8161例であり、82%増加していた。263の死亡例が登録され、平均年齢は58歳(95%CI、56-61歳)だった。

■ 1998~2012年に、昆虫刺傷によるアナフィラキシーのための入院は2688人だった。研究期間中410%増加していた。

 

 

英国において、アナフィラキシーによる入院は増加したものの、死亡率は上昇していないとされていた。

1992~2012年に、英国では、アナフィラキシーによる入院数は増加したけれども、死亡数は増加していなかったとまとめられます。これは、患者もしくは医療提供者どちらか、もしくは両方において、アナフィラキシーの診断に対する認識が改善したことに起因するかもしれないと言及されていました。

■ 原因ごとに年齢のピークに差があり、60歳以上で、薬や昆虫刺傷によるアナフィラキシーを原因とした入院と死亡数が最も高く、対照的に、食物によるアナフィラキシーを原因とする入院は、若年者で最も一般的だったとまとめられていました。

■ 2004年に英国で導入された(本邦でも同様の対応と思われます)、アナフィラキシー時には救急治療部で最大4時間の待機する方針を採用したことに対する潜在的影響も評価されましたが、明らかな関連は認められず、むしろ入院率の増加に結び付いた可能性が指摘されていました。

 

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