乳製品を除去していた牛乳アレルギー患児の骨密度は低下している

Nachshon L, et al. Decreased bone mineral density in young adult IgE-mediated cow’s milk–allergic patients. Journal of Allergy and Clinical Immunology 2014; 134:1108-13. e3.

除去食は、永続的な問題を起こすことがあります。

■ 昨日は帰宅が遅くなってしまい、ブログの更新が遅れました。外勤先に移動中の電車内で更新しています。今週は本当に時間が不足していて、更新が滞るかもしれません。無理して雑な記事になってもいけないのですが、読みたい論文は山になっているので頑張ってみます。

■ さて、牛乳アレルギーは乳幼児期に多い食物アレルギーですが、初診の患者さんで低アレルゲンミルクを導入されていないことは良く見受けられます。すなわち、「牛乳・乳製品を避けてください」のみで年齢を重ねている場合があることになります。

■ 母乳のみでは、徐々に栄養障害を来す場合があり、例えば、多品目の除去は有意に低身長を来すことも示されています(柳田紀之他,日小ア誌2013;27:721-724)。

■ 今回は、乳幼児期の牛乳アレルギーのお子さんが、牛乳除去をすることで骨密度が下がっているかどうかを検討した報告をご紹介いたします。

 

 牛乳アレルギー患児の、成人期の骨密度を調査した。

背景

IgE依存性牛乳アレルギー(IgE-CMA)患者は、乳製品摂取量と骨密度(BMD)との関係を研究する貴重なモデルを提供している。

 

目的

■ 乳幼児期IgE-CMA患者のBMDに対する乳製品除去の影響を調査する。

 

方法

■ 2012年7月から2013年6月まで、Assaf-Harofehメディカルセンターのアレルギー科で、前向き観察研究を実施した。

IgE-CMA 33人(I群)と診断された患者の骨密度測定値を、年齢および性別の一致したIgE-CMAでないボランティア群24人(対照群;II群)と比較した。

■ さらに、I群およびI対象群(II群)Iを、脱感作後に牛乳を摂取開始した12〜39ヶ月前のIgE-CMA群12人(III群)と比較した。

論文から引用。試験開始時の3群の比較。

 

結果

IgE-CMA群の股関節、大腿骨頸部、腰椎の骨密度測定値(平均TスコアおよびZスコア)は、対照群のものより有意に低かった(P <0.0001)

論文から引用。骨密度は乳を除去している群で低い。

■ 骨粗鬆症のリスクを示唆するTスコア-2.5S以下は、IgE-CMA患者の27%で認められたが、対照群では認めなかった(P = .0071)。

■ カルシウム摂取量はアレルギー患者では対照群よりも有意に少なかった(P <.0001)。

III群のBMD測定値は、第I群より有意に高く(P <.0001)、対照群と同様だった

 

結論

■ IgE依存性牛乳アレルギー患者は、骨密度低下および早期の骨粗鬆症のリスクが有意に増すが、乳の脱感作で可逆的であると考えられた。

■ 乳製品除去は、適切なカルシウム摂取が達成されず、これらの患者のための最適な栄養プロトコールの研究を必要とする。

 

結局、何がわかった?

 ✅牛乳アレルギーで乳製品を除去していた小児の骨密度は低下する。

 ✅早い段階で牛乳摂取を解除できた場合は骨密度の低下は抑えられる。

 

 

 牛乳アレルギーのある場合に除去食を必要としても、低アレルゲンミルクを導入したり、寛解を目指して負荷試験を積極的に行う必要性があるでしょう。

■ 牛乳アレルギーが明らかな場合に除去食を指導するのは当然です。

■ しかし、今回のご紹介した報告からも、ただ除去食を指導した場合は永続的な問題を起こしうるといえます。そのため、除去を指導する場合は栄養障害を起こさないような対策を十分行うことも重要で、特に、適切な低アレルゲンミルクの導入は必須だろうと考えます。

■ 個人的には、低アレルゲンミルクの導入は低年齢から考えたほうが良いと思っています。「味」の問題で導入しにくくなることが多いと思うからです。

■ 小児科医としては、多くの面で母乳栄養は重要と考えています。

■ しかし、早期の混合乳導入は、牛乳アレルギーの予防に働く可能性があることも示されており、「すこし混合乳」くらいでもいいのでは、、とも、アレルギーの面からは考えています。

■ 食物負荷試験も重要ですが、リスクもありますし決して簡単ではありません。どちらにせよ、永続的な問題を起こさないように丁寧に指導していく必要性があるでしょう。

 

 

今日のまとめ!

 ✅牛乳アレルギーで乳製品除去を行うと、その後の骨密度が低下する可能性がある。