デュピルマブは、アレルギーマーチの進行を防ぐ?

アトピー性皮膚炎とアトピー(アレルギー)マーチ: デュピルマブが進行を防ぐ?

■ アトピー(アレルギー)マーチは、多くの場合、アトピー性皮膚炎が起点となっていると考えられています。

■ IL4/13をブロックするデュピルマブにより、成人におけるアトピーマーチの進行リスクを減らす効果があるかもしれないという報告があり、共有します。

 

Geba GP, Li D, Xu M, Mohammadi K, Attre R, Ardeleanu M, et al. Attenuating the atopic march: Meta-analysis of the dupilumab atopic dermatitis database for incident allergic events. Journal of Allergy and Clinical Immunology 2023; 151:756-66.

デュピルマブ群2296人、プラセボ群 1229人(年齢中央値35歳)のアトピー性皮膚炎の成人患者を対象とし、デュピルマブ群とプラセボ群の罹患率比(IRR)を評価した。

背景

■ アトピーマーチとは、乳幼児期から青年期にかけてアレルギー疾患を順次発症する現象を指し、これは典型的にはアトピー性皮膚炎(AD)から始まり、食物アレルギー、気道疾患と続き、後にアレルギー疾患が拡大または悪化するとされている。
■ その経過を変える介入は、現在まで示されていない。

目的

■ AD患者でデュピルマブとプラセボを比較し、新規または悪化したアレルギーに関するイベント発現率を明らかにすることを目的とする。

方法

■ 12の臨床試験から得られたアレルギー関連事象を17のアレルギーカテゴリに分類し、ベースラインからのIgEの変動を定義した。
■ 新規あるいは悪化した事象は、アトピーマーチの1段階とみなした。
■ 治療効果の評価は、デュピルマブとプラセボの罹患率比(IRR)によりメタアナリシスにて行った。

結果

■ プールされたAD試験の期間は4~52週であり、1359患者年を対象とした(n=2296デュピルマブ、n=1229プラセボ、年齢中央値35歳)。
■ AD発症年齢の中央値は2歳だった。
■ ベースライン時のアレルギー疾患の負荷は、各群間で同等だった。
■ デュピルマブはプラセボに比べ、新規あるいは悪化したアレルギーのリスクを34%(IRR 0.66;95%信頼区間[CI]、0.52-0.84)、新規アレルギーのリスクを37%(IRR 0.63;95%CI、0.48-0.83)減少させた。
■ IgEカテゴリーの変動を考慮すると、新規あるいは悪化したアレルギーの複合IRRは54%減少した(IRR 0.46;95%CI、0.36-0.57)。
■ これらの治療効果は、治療中止後の追跡調査で逆転することはなかった。

結論

■ アトピーマーチを示唆するアレルギー症状の獲得や悪化は、コントロールが不十分な成人および青年期のAD研究集団のプールで観察された。
■ デュピルマブによる治療は、プラセボに比べて新規または悪化したアレルギー事象を減少させた。
■ IgEのカテゴリー変動を考慮すると、その有益性はより明らかとなった。

 

 

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