卵の離乳食早期導入は卵アレルギーの発症リスクを下げる。では、アトピー性皮膚炎を悪化させたりはしないのか?
■ 離乳食へ卵を早期に導入するという手法は、2017年に提案されてから普及してきています。
■ そして、リアルワールドでも結果が報告されるようになりました。
■ では、卵の早期導入することにより、アトピー性皮膚炎を発症しやすくならないのでしょうか?
■ そのテーマで検討された、最近のNutrients誌の報告を共有します。
Hua M-C, Yao T-C, Liao S-L, Tsai M-H, Lai S-H, Chen L-C, et al. Introduction of Egg White and Yolk to Infant Diets and Early Childhood Atopic Dermatitis. Nutrients 2023; 15:1379.
2012年3月から2017年4月までに台湾の長庚記念病院において出産した896人の小児を対象に、卵の早期導入とアトピー性皮膚炎の発症リスクを検討した。
背景・目的
■ 乳幼児期のアレルゲン食品の導入が、幼児期のアトピー性皮膚炎(AD)と関連するかどうかを調査した。
方法
■ 親のアレルギー歴、アレルゲンとなりうる6種類の食品(果物、卵白、卵黄、魚、貝、ピーナッツ)の導入、医師によるAD診断に関する情報を、年齢別のアンケート(0~2歳)を用いて入手した。
■ また、20種類の食物アレルゲンに特異的な免疫グロブリンEを生後12ヶ月で定量化した。
■ ロジスティック回帰分析を用いて、個々の食物導入と食物感作およびADの転帰との関連を明らかにした。
結果
■ 結果として、2歳までのAD発症は、親のアレルギー歴(調整オッズ比[aOR] 1.29)もしくは乳児期に卵白と卵黄を導入されていないこと(aOR 2.27および1.97)と有意に関連していた。
■ 層別解析の結果、卵白と卵黄の両方の導入は、2歳までのADと負の関連があり、特に両親がアレルギー疾患を持つ子どもでは、負の関連があった(aOR=0.10)。
結論
■ 以上のことから、卵白と卵黄を乳児の食事に取り入れることは、2歳までに医師が診断したADのリスクを低減するための修正可能な因子であり、特に両親がアレルギー疾患を持つ乳児にとって重要である可能性が示唆された。
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