Glatz M, et al. Malassezia spp.-specific immunoglobulin E level is a marker for severity of atopic dermatitis in adults. Acta Derm Venereol 2015; 95:191-6.
マラセチアという真菌とアトピー性皮膚炎。
■ マラセチアは、皮膚に常在する真菌(カビ)の一種です。
■ 最近、広島大学のグループから、マラセチアの菌体成分が汗の中に含まれるという報告があり、汗をかいたときの痒みに関連することが判明し、注目されています。
E: 特異的IgE抗体価(卵白、ミルク、タラ、小麦、ピーナッツ、大豆、ヤケヒョウヒダニ、ネコふけ、イヌふけ、オオアワガエリ、ライ麦、Cladosporium herbarum、シラカバ花粉、ヨモギ、ハシバミ花粉、D. farinae、Malassezia属、アルテルナリア、カンジダ、C. herbarum、S. aureus腸管毒素A)
C: -
O: 食物・環境アレルゲン特異的IgE抗体価とアトピー性皮膚炎重症度(SCORAD)に相関があるか
結果
■ SCORADは25未満を軽症、25~50を中等症、50以上を重症とし、イムノキャップによる検査でクラス2以上(>0.70kU/L)を陽性とした。
■ 成人79.7%、小児46.8%が、総IgE値100kU/l以上だった。
■ アレルゲン(特に微生物アレルゲン)に対する感作率は、成人では小児と比較して最高10倍高値であり、成人で検出される微生物特異的IgE抗体のなかでマラセチア属特異的IgE抗体価が最も頻度が高かった。
■ SCORADは、成人(r=0.549、p < 0.001)と小児(r=0.344、p=0.005)に両方において総IgE値と相関した。
■ 成人のみ、マラセチア属特異的IgE抗体価とSCORADが相関した(r=0.429、p=0.007)。
■ マラセチア属特異的IgE抗体価と総IgE値は、小児、成人両方で相関した(成人:p < 0.001、r=0.67;小児:p < 0.001、r=0.41)。
マラセチアとアトピー性皮膚炎、そして汗。
■ 最近、汗の成分にマラセチアが含まれていることが判明し、汗でかゆみが悪化する理由のひとつとされています。
■ 今回の症例ではマラセチア特異的IgE抗体価と小児のSCORADは相関しなかったと述べられていますが、p=0.07なので、傾向はあるといえるでしょう。
■ マラセチアは脂漏部位(頭部、頸部)に多いとされています。しかし、今回の検討では、頭部-頸部型のアトピー性皮膚炎は、小児でも成人でも、マラセチア特異的IgE抗体価と相関しなかったそうです(小児:p = 0.28、成人:p = 0.1)。