経皮的ピーナッツ免疫療法: 第I相試験

Jones SM, et al. Safety of epicutaneous immunotherapy for the treatment of peanut allergy: A phase 1 study using the Viaskin patch. J Allergy Clin Immunol 2016; 137:1258-61.e10.

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26920463

 


経皮感作、という概念は多くの研究で証明されてきており、ご存知のかたも多いでしょう。

しかし、湿疹のない健常皮膚に対してはむしろ免疫寛容を誘導する可能性が示唆されています。今回ご紹介する論文のグループは、経皮的免疫寛容誘導(EPIT=えぴっと、と読みます)に関して研究を進めており、キットの商品化も目指しているようです。そのキットはViaskinと名付けられています(http://www.dbv-technologies.com/en/viaskin-technology)(もちろん、上に貼った画像とは全く別物です)。

今回は第I相試験であり、薬物動態や安全性をみて用量決定などが行われます。よって、効果を見ている試験ではないことに注意(蛇足ですが、臨床応用されるためにはさらに、第II相、第III相と続くことになります)。


 

P: 6-50歳の重篤なピーナッツアレルギー患者30名、重篤でないピーナッツアレルギー患者70名 計100名 

E: Viaskinにより前腕もしくは肩甲骨間の健常皮膚に20、100、250、500mgの用量でピーナッツ貼付(低用量から開始、小児は500mgは使用せず)

C: プラセボ貼付

O: 投薬1、2、3、8、15日、22日目(投薬終了7日後)に安全と忍容性を評価

 

結果

参加者のベースラインでのピーナッツ特異的IgE抗体価は、平均25.47kUA/L(0.71-〉100 kUA/L)だった。

安全性と忍容性はtreatment emergent adverse events (TEAEs;Viaskinの部位のみではない緊急性のあるイベント)とL-TEAEs(Viaskin部位のみ)で評価され、重篤なTEAEsは報告されなかった。

100人中4名(4%)は研究が中断された。 1例は同意撤回であり、3例はTEAEsのためだった。少なくともひとつのL-TEAEがViaskinによるピーナッツ治療被験者の84%、プラセボ治療被験者の60%から報告され、Viaskinによるピーナッツ治療被験者のL-TEAEsは有意に多かった(P = .021;相対危険度1.4[95%CI、0.99-2.08])。グレード2と3のL-TEAEsは重篤なピーナッツアレルギーの被験者より重篤でないピーナッツアレルギーの被験者に多かった。

試験開始時と終了時でのピーナッツ特異的IgE抗体価と皮膚プリックテストに有意な変化は認められなかった。

 

コメント

ピーナッツ経皮的免疫療法(EPIT)のLetter(短報)になります。

第一相の結果で、安全性は高く第二相の必要性が述べられていました。重篤な副反応が起こりにくいとされるEPITは、重要な治療法ではありますが、まだ現状では評価が定まったともいえないように思っています。今後の発展に注目したいですね。

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