妊娠中のビタミンD補充は、児の喘息予防に効果不十分(VDAARTスタディ): ランダム化比較試験

Litonjua AA, et al. Effect of Prenatal Supplementation With Vitamin D on Asthma or Recurrent Wheezing in Offspring by Age 3 Years: The VDAART Randomized Clinical Trial. Jama 2016; 315:362-70.

ビタミンDとアレルギー。

■ ビタミンDとアレルギー疾患に関する論文は増加しています(Allergy 2012; 67:10-7. )。

■ しかし、妊娠中の魚油の内服に関しては1歳時点での湿疹は減らしてもその後は差がなくなってしまうなど、アレルギー予防に関してはコントラバーシャルです。

■ 今回紹介するのは、妊娠中にビタミンDを補充することで児の喘鳴を減らせるかというものです。

妊娠中の魚油摂取は1歳でのアレルギー疾患を予防するが3歳では有意差が消失する: ランダム化比較試験

 

P: 2009年10月から2015年1月 喘息児を持つハイリスクの18-39歳の妊婦881名(5名はランダム化後不適格であることが判明し除かれた)

E: ビタミンD 400IUを含むビタミン製剤に加えビタミンD 4000IU内服(=ビタミンD4400IU) 440名

C: ビタミンD 400IUを含むビタミン製剤+プラセボ内服(=ビタミンD400IU) 440名

O: (1) 3歳までの医師に診断された喘息もしくは再発性の喘鳴 (2)第三トリメスターにおける母の25-ヒドロキシビタミンD濃度

 

 

結果

 

■ 810名の乳児が本研究で出生し、3歳時に806名が分析された。218名が喘息または再発性の喘鳴を発症していた。

■ ビタミンD 4400IU群において98/406名(24.3%; 95%CI、18.7%-28.5%)が発症、ビタミンD 400IU群において120/401名(30.4%、95%CI、25.7%-73.1%)の発症であり、ハザード比は0.8(95%CI、0.6-1.0; P = .051)だった。

■ 4400IU群の母において、289名(74.9%)は第三トリメスターまでに、30ng/mL以上の25-ヒドロキシビタミンD濃度であり、400IU群の133名(34.0%)に比較し有意に高値だった(差、40.9%; 95%CI、34.2%-47.5%、P < .001)。

 

 

コメント

 

母体がビタミンD内服したほうが、児の3歳までの喘息(もしくは再発性喘鳴)が6%程度少ない傾向にはあるものの、有意ではないという結果。

■ 統計学的に有意差ぎりぎりなので妊婦さんのビタミンD補充が児の喘鳴を減らす傾向はあるといえそうですが、あるとしても小さなもの、とも言えそうです。

■ なお、Dicussionで研究の限界に関しての言及があり、肺の形成は第4週から始まるため本研究の平均14週から開始は遅いかもしれない、また、ビタミンDが十分量だったかどうかなどが考察されていました。

■ ビタミンDに関しての報告はアレルギーの分野以外も多くでてきています。まだこれからの分野といえるのではないでしょうか。

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