幼児期のライノウイルス感染やアレルゲン感作は13歳までの喘息発症リスクを上昇させる

Rubner FJ, et al. Early life rhinovirus wheezing, allergic sensitization, and asthma risk at adolescence. J Allergy Clin Immunol 2016. [Epub ahead of print]

喘息発症リスクの条件とは?

■ ライノウイルスはいわゆる「鼻かぜ」の原因ウイルスですが、喘息発症や増悪に関与するという報告があります。

■ RSウイルスも喘鳴を来しやすく、RSウイルス免疫予防(予防接種)が4.5-6歳時の気管支喘息のリスクを減らすという報告があり、また、6歳時の喘息リスクを増加させるという報告もあります。

RSウイルス免疫予防は、4.5歳から6歳での喘息発症率を低下させる: 後ろ向きコホート(propensityスコア分析)

■ では、13歳までみていくとどうなるか?という報告です。

 

P:出生コホート研究であるCOASTスタディに参加した217人の小児

E: 3歳までのウイルス性喘鳴疾患の病因とタイミング

C: -

O: 13歳のエアロアレルゲン感作と喘息パターンに関連するか

 

 

出生コホート研究COASTスタディに参加した小児217人を、13歳までフォローし、喘息の寛解因子を確認した。

■ 症状スコアが5以上(中等度から重度の呼吸疾患と想定)である場合に鼻洗浄による検体採取が実施され、RSウイルス(RSV), ライノウイルス(RV), influenza A 、B型, parainfluenza virus 1-4型 (PIV), adenovirus (AdV), enteroviruses (EnV)、coronaviruses (OC143, NL63, and 0229) (CV)、metapneumoviruses (MPV) を同定した。

■ すべての原因ウイルスで調整されたとき、ライノウイルス(RV)は13歳での喘息と関連していた(オッズ比[OR] 3.3、95%信頼区間[CI] 1.5-7.1])が、RSウイルス(RSV)は関連しなかった(OR 1.0、95%CI 0.4-2.3)

■ アレルゲン特異的IgE抗体は、1、2、3歳でヤケヒョウヒダニ、コナヒョウヒダニ、アルテルナリア、イヌ、ネコに関して、5、6、9、11、13歳でヤケヒョウヒダニ、コナヒョウヒダニ、アルテルナリア、イヌ、ネコ、ブタクサ、シラカバ、オオアワガエリ、ゴキブリに関し評価された。

吸入アレルゲン感作の年齢も喘息リスクに影響し、1歳までに感作されている児の65%が13歳で喘息だったのに対し、1歳で感作されておらず5歳で感作されている児は40%、5歳で感作されていない児は17%だった。

 

早く感作されると、喘息が寛解にしくいのかもしれない。

■ 幼児期の吸入アレルゲン感作のタイミングもその後喘息のリスクと関連し、さらに3歳までのライノウイルス(RV)感染に伴う喘鳴が喘息のリスクを増やすという結果でした。

同じグループが、RSVウイルス(RSV)による喘鳴が6歳での喘鳴を増やす(オッズ比2.6倍)と報告していますが、この報告では他のウイルスで統計を調整した場合はRSVに関して有意差が消失しているので、RVは長期の喘息予後を変化させ、RSVは6歳以降には影響が減少する、といえるかもしれません。

■ この論文の著者は、喘息の一次予防を考える場合は、特異的IgE抗体産生を減らすもしくは止める、さらに、ウイルス性疾患を目標にすることを提案しています。

■ しかし、現実的にライノウイルスは種類が多く、予防というのはよほど高性能の予防接種ができないと難しいでしょう。個人的には感作を減らす努力が必要なのではないかと思います。

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