アレルギー性鼻炎と喘息リスク:舌下免疫療法治療の有効性、費用対効果、早期治療の重要性
■ アレルギー性鼻炎は、気管支喘息の発症リスク因子です。
■ すなわち、子どもの時のアレルギー性鼻炎は喘息の発症リスクを高める可能性があります。
■ アレルゲン免疫療法は、アレルギー性鼻炎の症状を緩和する薬物療法が十分でない場合にはとくに推奨されます。
■ そして、舌下免疫療法(SLIT)は、小児から使用でき、アレルギー性鼻炎の症状・薬物使用量を有意にすくなくします。
■ では、アレルギー性鼻炎に対するSLITを、はやくはじめるほど、喘息の発症リスクや経済的利益が大きくなるのでしょうか?
Hamelmann E, Hammerby E, Scharling KS, Pedersen M, Okkels A, Schmitt J. Quantifying the benefits of early sublingual allergen immunotherapy tablet initiation in children. Allergy; n/a.
中等症から重症の季節性アレルギー性鼻炎のある小児を対象に、舌下アレルゲン免疫療法(SLIT)錠を5歳、7歳、12歳で開始するグループに分け、その臨床的・経済的効果を比較した。
背景
■ アレルギー性鼻炎(AR)は上気道の慢性炎症性疾患であり、小児の最大45%がアレルギー性喘息(AA)に進展することがある。
■ この解析は、小児期の早期からARの治療として舌下アレルゲン免疫療法(SLIT錠)を開始することの臨床的及び経済的利益を、新規喘息発症例の長期的な減少効果を定量化することによって調査することを目的とした。
方法
■ 喘息発症リスクに対するSLIT錠の長期的効果を推定するため、マルコフモデルを開発した。
■ 主要パラメータは、主にGRAZAX® Asthma Prevention試験のデータに基づいており、年齢及び治療に依存するAA発症リスク、AR重症度の進行/寛解の年間確率を含んでいる。
■ 医療費はREACT試験のデータを用いて推定した。
結果
■ 中等度から重度の季節性ARを有する小児をモデル化したコホートでは、7歳と12歳でSLIT錠の投与を開始した場合、20年間にそれぞれ24%と29%がAAを発症した。
■ 一方、5歳で開始した場合は、19%がAAを発症した。
■ さらに、5歳でのSLIT錠の投与開始は、患者1人当たり20,429ユーロの総医療費と関連しているのに対し、7歳及び12歳での投与開始は、AR診断から20年後に患者1人当たりそれぞれ21,050ユーロ及び22,379ユーロと関連していた。
結論
■ 幼児期におけるSLIT錠の投与開始は、臨床的に意味のある永続的なAA新規症例を減らし、AR患児の医療費減少と関連していた。
■ この知見は、長期的な臨床的利益を得るために、ARの小児に対して早期にSLIT錠を開始することの臨床的妥当性を支持するものである。
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