ジスロマックによるRSウイルス感染後の喘鳴予防はモラキセラ菌の減少が関与しているかもしれない: 事後解析

Zhou Y, et al. Azithromycin therapy during respiratory syncytial virus bronchiolitis: Upper airway microbiome alterations and subsequent recurrent wheeze. J Allergy Clin Immunol 2016.[Epub ahead of print]

 


昨日UPした報告は、RSウイルス後の喘鳴に対し、アジスロマイシン(ジスロマック)が予防的に効果を示すかもという結果でした。

RSウイルス細気管支炎後、ジスロマックの2週間内服でその後の喘鳴を予防できる: ランダム化比較試験

その際はIL-8の減少から、抗好中球効果からかと考察されていましたが、最近その報告のpost-hoc解析が報告されましたのでUPします。


 

P: RSウイルス細気管支炎で入院加療した1-18ヶ月の乳児39名(以前の報告のpost-hoc解析) 

E: アジスロマイシン(商品名ジスロマック) 14日間  (10 mg/kg/日×7日間→5 mg/kg/日× 7日間)

C: プラセボ

O: 気道のマイクロバイオームの変化

 

結果

両群において、最も多い菌種はレンサ球菌とモラクセラ属だった。

試験治療終了後、全体の菌種構成と検出量は、2群間で有意に変化した(P = .001)。

プラセボ群において、Dolosigranulumとコリネバクテリウムの相対的発生量は有意に増加した(それぞれのq値= 0.03、0.03)が、レンサ球菌の相対的発生量は有意に減少した(q値= 0.01)。

AZM群において、モラクセラ属菌量は、有意に減少した(q値= 0.03)。 試験治療終了後のより低いモラクセラ属菌量は、AZM群・プラセボ群にかかわりなく、以降の再発性喘鳴を有意に減少させた(オッズ比[OR]、0.86; 95%信頼区間[CI] 0.75-0.99; P = .03)。

追加的な回帰モデルでは、14日のモラクセラ菌属量の減少の大きさは再発性喘鳴発症率に有意に関連した(OR、0.87; 95%CI、0.74-0.98、P = .04)。

 

コメント

モラキセラ・カタラーリスを含む菌による乳児期の上気道の無症候性コロニー形成が持続性喘鳴や喘息のリスクとなるという先行研究があるそうです。

同グループの先行研究ではIL-8の減少による好中球炎症の低下を指摘していましたが、モラクセラ属菌量減少が影響した可能性もあるとしていました。であれば、ジスロマックではなくクラリスでも効くのかもしれませんね。

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