Beigelman A, et al. Randomized trial to evaluate azithromycin's effects on serum and upper airway IL-8 levels and recurrent wheezing in infants with respiratory syncytial virus bronchiolitis. J Allergy Clin Immunol 2015; 135:1171-8.e1.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25458910
RSウイルス感染後は喘鳴が長引きやすいですし、発症予防がその後の喘息を減少させる可能性が指摘されています。
RSウイルス免疫予防は、4.5歳から6歳での喘息発症率を低下させる: 後ろ向きコホート(propensityスコア分析)
P: RSウイルス細気管支炎で入院加療した1-18ヶ月の乳児40名
平均3.8± 2.9ヶ月 男児59% 白人64%
E: アジスロマイシン(AZM;商品名 ジスロマック) 14日間 (10 mg/kg/日×7日間→5 mg/kg/日× 7日間)
C: プラセボ
O: 1) 50週間の喘鳴累積再発率
2) 8日目、15日目の血液・鼻洗浄液IL-8レベル
結果
アジスロマイシン投与はプラセボと比較し、8日目の血清IL-8レベルを変化させなかった(P = .6)が、15日目の鼻洗浄液IL-8レベルを有意に低下させた(P = .03)。
喘鳴(少なくとも3エピソード)の再発は、アジスロマイシン治療群の22%であり、プラセボ群と比較して50%低下した(P = .07)。アジスロマイシン投与群は喘鳴症状の期間を1/3にし(P = .048) 、RSウイルス細気管支炎入院後1年間の呼吸器症状日数を有意に減少させた(36.7対70.1日、P = .01)。
コメント
palivizumab(商品名 シナジス)がRSウイルス感染後の喘鳴を予防するという報告がありますが、palivizumabはとても高価です。一方、ステロイド吸入薬といった喘息予防薬は十分な喘鳴予防効果がないという先行研究もあります。
アジスロマイシンで予防が可能なのであれば、しかも14日間の投与で効果があるのであれば有用な選択肢といえる。ただし、本邦ではアジスロマイシンは14日間の保険適応はなく、またマイコプラズマや肺炎球菌のマクロライド耐性に影響する可能性がありますので注意は必要かもしれません。
IL8の減少が認められることから、抗好中球作用により、再発性喘鳴予防に効果があるのではないかと考察されていましたが、その後の研究結果が最新報告されたので、明日UPします。
なお、RSウイルス後の喘鳴は、13歳まで経過をみていくと有意差がなくなってくるようです。
13歳時点の喘息は、幼児期のライノウイルス感染やアレルゲン感作と関係する: 出生コホート試験