小児の発熱性尿路感染時の抗生剤加療開始の遅れは腎瘢痕化の発症に関連するかもしれない

2017年5月31日

Shaikh N, et al. Early Antibiotic Treatment for Pediatric Febrile Urinary Tract Infection and Renal Scarring. JAMA Pediatr 2016.

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27455161

 


発熱性尿路感染症は、小児科では重要な疾患のうちのひとつでしょう。私が申し上げるまでもなく、非可逆的な腎瘢痕に繋がる可能性があるためです。一方で、夜間は必ずしも十分な検査が出来ないセッティングも多いと思います。しかし、十分な検査なくエンピリックな加療は望ましくはありません。あえて翌日精査せざるを得ない場合もあることから、UTIに対する抗生剤治療開始時期の検討は重要と思います。


 

P: 初回、もしくは2回目の発熱性尿路感染症をきたした小児482名(女児90%) 年齢中央値11か月(2-72か月)     RIVUR研究(膀胱尿管逆流をもつ小児が参加)かCUTIE研究(膀胱尿管逆流のない小児が参加)への参加者

E: 各種予測変数で検討  

 抗菌療法の開始時期の遅れ、年齢、性、人種/民族、膀胱尿管逆流、膀胱と腸管機能不全、親の教育歴、公的扶助、上部尿路感染(UTI)既往歴(初回か、以前にUTIがあるか)、起炎菌(大腸菌vs他の菌)、リクルートとDMSAスキャン間でのUTI発症、UTIインデックス時の発熱の程度(<39°Cvs≧39°C)

C: –

O: 2年間の追跡期間中、新たな腎瘢痕化をきたすか

 

結果

参加者のうち、白人375名(78%)、膀胱尿管逆流は375名(78%)だった。

新しい腎瘢痕化の評価は、”DMSAスキャンにおいてベースライン(UTI後3-4か月)の検査で存在しなかった外郭の変化領域が24か月後にある”と定義した。

計35名(7.2%)が新規に腎瘢痕化を発症した。

腎瘢痕化は、抗菌薬治療開始の遅れと有意に相関し、腎瘢痕化がある群とない群の抗菌薬治療開始までの発熱持続時間の中央値(25-75%tile)は72時間(30時間-120時間)と48時間(24時間-72時間)時間であった(P=。003)。

単変量解析で、年齢(オッズ比[OR]、1.03; 95%信頼区間[CI]:1.01-1.05)、ヒスパニック(OR、5.24; 95%CI、2.15-12.77)、以前のUTI(OR、0.97; 95%CI、0.27-3.45)と膀胱と腸管機能不全(OR、6.44; 95%CI、2.89-14.38)も腎瘢痕化に関連したが、これらで調整後した多変量解析でも、抗菌薬治療開始の遅れは腎瘢痕化と有意に関連し、抗菌療法の遅れの1時間ごとに、腎瘢痕化発症のオッズは0.8%増加すると予想された。

 

コメント

この報告から、発熱してから早期に抗生剤を開始することが推奨はできますが、夜間も尿沈渣やKova Slideが使用できないセッティングもあり得ます(例えば、当院は夜間は定性ですら尿白血球をみていただけない病院で、自分でテステープで確認しなければならないのです、、)。

もちろん、発熱から時間が経過している場合は定性でも検査結果を確認後、治療を開始しています。が、これらの結果からは、夜間からの発熱であれば多くの場合は翌朝再度確認してから治療開始してもよいといえるのではないでしょうか。

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